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石川県が創設した「いしかわ産業化資源活用推進ファンド(活性化ファンド)」の認定企業にスポットを当て、地域の資源を生かした商品開発について紹介する。
気ぜわしい日常を離れ、極上のプライベート空間で癒しのひとときを過ごせる湯宿「べにや無何有(むかゆう)」。よりリラックスして滞在を楽しんでもらえるよう、平成21年にオリジナルブランドの「薬師山アメニティー」を開発した。
薬師山アメニティーは、シャンプーやトリートメント、ボディーウォッシュなど全8種類。合成保存料は一切含まれておらず、ミネラルが豊富な山代温泉と天然由来成分をぜいたくに使っている点が特徴だ。毛髪や頭皮、肌のダメージを抑え、肌に潤いを与え、美白などさまざまな効果が期待できる。さらに、それぞれのアメニティーに合った香りも魅力で、ヒーリング効果をより一層引き立てている。
薬師山アメニティーは現在、館内のショップやオンラインショップで取り扱っており、その良さを体感した宿泊客を中心に順調な売れ行きを維持している。一昨年からは東京・丸の内のセレクトショップでも扱うほか、昨年開業した複合商業施設「渋谷ヒカリエ」のオープン記念イベントでも販売し、大きな注目を集めた。
薬師山アメニティーは土地の歴史と深く結び付いた商品でもある。宿がたたずむのは、奈良時代の高僧・行基が温泉を見つけたと言われる薬師山の高台で、白山信仰の拠点・薬王院温泉寺の本堂があった場所とされる。時代を超えて続く山代温泉の魅力をもっと知ってほしいとの思いが、“薬師山”の名を冠したアメニティー開発のきっかけとなっている。
また、平成20年にパリに本部を置くホテルとレストランの会員組織「ルレ・エ・シャトー」に加盟したことも商品化を後押しした。ルレ・エ・シャトーには世界各地の一流の施設が名前を連ねており、「土地の特色を考えたおもてなしに力を入れる会員が多く、当館でも長い歴史がある山代のオリジナリティーを生かす必要性を感じた」と、中道一成社長は話す。
開発時は中身だけでなく、デザイン性にも気を配り、「いしかわ産業化資源活用推進ファンド(活性化ファンド)」を活用し、日本を代表するグラフィックデザイナー・原研哉さんに容器や広報用パンフレットの制作を依頼。「海外への販売も視野に、パンフレットには英語も併記している」(中道社長)とのことで、今後は一層の販路開拓に力を注いでいく考えだ。
企業名 | 株式会社 べにや旅館 |
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創業・設立 | 創業 昭和3年10月 |
事業内容 | 旅館業 |
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備考 | 情報誌「ISICO」vol.68より抜粋 |
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掲載号 | vol.68 |