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コンダクトが手がけるのはケアプラン策定システムや介護保険請求システムなど、介護の現場で求められるソフトの開発、販売である。平成12年に介護保険制度がスタートして以降、多くの企業がこうしたソフトの開発に参入したが、その分競争は激しく、撤退、縮小を余儀なくされる企業も少なくない。ここまで厳しい競争を勝ち抜いてきたコンダクトでは、さらに攻勢をかけようと、クラウド版のリリースや日本初のモバイルサービスの開発など、新たな取り組みに力を入れている。
コンダクトが開発、販売しているのは訪問介護を行う事業者や介護老人福祉施設などが、介護報酬の請求に必要な帳票をはじめ、介護やリハビリの計画書、介護記録などを作成するためのソフトである。
事業者が提供するサービス内容に応じてソフトを用意するほか、ケアプランの作成を支援するソフトやケアマネジャーの業務をサポートするソフトもある。全部で22種類のソフトにはそれぞれ「ひまわり」「すみれ」など花の名前を付け、「Flowers NEXT」というシリーズ名で展開している。
「たくさんの機能を盛り込んでも、使ってもらえなければ意味がない」。同社の穴田幸雄社長がそう話すように、事業者のサービス内容に応じて必要な機能を絞り込んだ点が特徴だ。その上で、パソコンが苦手な人でも使いやすいよう画面をシンプルにして、操作も簡便にした。
同社では平成4年、老人保健施設向けの医療保険請求システムを手がけたことをきっかけに、介護・福祉・医療関連システムの開発に乗り出し、介護保険制度の施行に合わせてラインアップを拡充した。
穴田社長によれば、介護報酬はオンライン請求が基本となっていたため、制度が立ち上がった当初はシステム企業の参入が相次いだ。しかし、介護保険ソフトだけでやっていくにはかなりのユーザー数が必要であり、現在、専業で取り組むのは10数社となっている。使い勝手の良さなどが支持されたコンダクトもその一つで、これまで、全国3,000以上の事業所に約5,000システムを販売している。
さらに販路を拡大すると同時に、既存の利用者の利便性を向上するため、昨年2月には「Flowers NEXT」のクラウド版をリリースした。クラウド版では従来のように事業所のパソコンにソフトをインストールする必要がなく、インターネットに接続できるパソコンやタブレット端末があれば、いつでもどこからでもシステムを利用できる。
また、介護保険制度は3年に1度、必ず見直しがあり、制度の改正に応じてシステムのバージョンアップが不可欠だが、クラウド・サーバー側でシステムを自動更新できるので、従来のようにCD-ROMを使って利用者側でシステムを更新する手間が省ける。
利用者によるサーバー管理は必要なく、システムに何か不具合があった場合でも、直接クラウド・サーバーを見て原因を調べられるため、システム管理者のいない事業所でも安心して使える。災害時などのデータ復旧も万全だ。
複数の施設を運営する事業所にとっては、データを一元管理できる点もメリットだ。
利用者からの関心は高く、導入実績も着実に増えている。平成24年度石川ブランド認定製品にも選ばれた。
企業名 | 株式会社 コンダクト |
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創業・設立 | 設立 昭和48年6月 |
事業内容 | 介護保険システムなどの開発、販売 |
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備考 | 情報誌「ISICO」vol.68より抜粋 |
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掲載号 | vol.68 |