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石川県が創設した「いしかわ産業化資源活用推進ファンド(活性化ファンド)」の認定企業にスポットを当て、地域の資源を生かした商品開発について紹介する。
「せっかくハンカチにアイロンをかけても、すぐにしわになって困る」。そんな経験を持つ女性に好評なのが「toren(とれん)はんかち」だ。これは加賀友禅や各種染色加工品を製造する奥田染色が発売した商品で、特殊なしわ加工を施してあるため、洗濯後もアイロンをかけずに使うことができる。
明治38年に創業した染め物の老舗だけに、色合いにもこだわった。肌触りがよく、水分の吸収性に優れた綿を一つ一つ手染めしており、茜(あかね)や鶯(うぐいす)、古代紫など日本の伝統色から12色をラインアップする。
別売りの専用ホルダーを使えば、アクセサリーのようにバッグに外付けすることも可能。ファッションにアクセントを加えるだけでなく、ハンカチを探す手間が省け、使った後の濡れたハンカチをしまわなくてもよい実用性も魅力だ。
キューブタイプの専用ボックス入りで贈り物にも最適である。
商品開発は「いしかわ産業化資源活用推進ファンド(活性化ファンド)」の補助事業を活用して行われた。今年2月に東京ビッグサイトで開かれたギフトショーでお披露目し、デパートや老舗旅館、通販会社から引き合いがあった。現在は東京都内の雑貨店や自社のネットショップで販売している。
加賀友禅のハンカチや加賀染の風呂敷、のれんなどのOEMを手がけてきた同社にとって、torenはんかちは初のオリジナル商品だ。
開発に当たっては、毎日使ってもらえるものとしてハンカチに着目。しわが気になるならば、最初からしわを付けたデザインにしておけばいいという逆転の発想で、これまで化学繊維にしか施すことができなかった特殊なしわ加工を綿に応用した。
また、染屋の原点に立ち返って、あえて無地にこだわり、全部で50色以上のサンプルを染めて吟味した。「商品単独での見栄えはもちろん、大人の女性のファッションアイテムとして取り入れやすい色を厳選した」と話すのは同社の奥田和子さんである。女性客がどの色を買おうかと目移りしている様子を見ると、うれしくなるという。
オリジナル商品は、屋号である「茜や」を自社ブランドとして新たに立ち上げて展開している。来年2月のギフトショーには第2弾としてストールを発表する計画だ。「今後も今の生活シーンに合う、女性が使いやすいファッションアイテムを増やしていきたい」と奥田さん。女性用にとどまらず、チーフなど男性用商品のプランも練っている。
企業名 | 奥田染色 株式会社 |
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創業・設立 | 創業 明治38年2月 |
事業内容 | 加賀友禅(手描友禅・着尺友禅・小紋)、旗・幕・のぼり・のれんなどの製造、販売 |
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備考 | 情報誌「ISICO」vol.67より抜粋 |
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掲載号 | vol.67 |