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石川県が創設した「いしかわ産業化資源活用推進ファンド(活性化ファンド)」の認定企業にスポットを当て、地域の資源を生かした商品開発について紹介する。
七尾市田鶴浜町で料理店を営む池亀では昨年11月から、オリジナルメニューの「能登牡蠣(かき)白味噌(みそ)鍋」をネット販売し、好評を博している。これは池亀で提供しているのと同じ特製白味噌スープ1リットルと七尾西湾でとれた能登かき500gをそれぞれパック詰めし、セットにした商品だ。自宅で野菜や豆腐を用意して煮込むだけで、3~4人前の鍋ができあがる。価格は3,700円(送料別)で、販売は11月から翌年3月まで。東京を中心に東北や九州からも注文が寄せられている。
創業から約70年の歴史を刻む池亀の3代目、池田哲三代表がこの鍋を考案したのは約20年前にさかのぼる。白味噌を使ったカキ鍋は能登では一般的ではないが、関西の料理店で修行した池田代表が、県外産に比べてやや小ぶりながら、肉厚で味が濃厚な能登かきに合うスープを試行錯誤した末、修行時代によく使った白味噌にたどり着いた。スープは信州産の白味噌をベースに、七尾産の合わせ味噌とイカのいしりを隠し味に使って調味しており、上品な甘さが能登かきと絶妙にマッチする。広島の郷土料理として知られるカキの土手鍋と比べると、カキの旨みを生かすあっさりとした味わいが特徴で、飽きがこない。
自慢の味をネット販売し始めたのは、取材で店を訪れたあるテレビ局のレポーターが「この味を家でも食べたい」とコメントしたことがきっかけだった。ネット販売に当たっては、「いしかわ産業化資源活用推進ファンド(活性化ファンド)」を利用して、ホームページやチラシ、ラベルの作成、イベント出展に取り組んだ。
何と言ってもこだわりはスープの味である。「自宅でも店と同じ味を食べてもらえるように」と、スープは水で伸ばして使う濃縮タイプにせず、発送日に作りたてをそのままパック詰めする。能登かきも専門業者が選りすぐった大粒のものしか使わない。
評判は上々で、昨年11月に発売された「週刊文春」では、フードライターや編集者が選ぶお取り寄せご当地鍋ランキングで3位に入賞。今年1月に埼玉県和光市で開かれた鍋料理の祭典「ニッポン全国鍋合戦」では約1,200食を完売し、来場者の投票では国内43種類の鍋料理の中で5位と健闘した。
もっとも、商品のPRはこれからが本番だ。池田代表は「今後、県内外のイベントに積極的に出展したい」と腕まくりし、金沢や県外での知名度アップに力を注ぐ考えだ。
企業名 | 有限会社 池亀 |
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創業・設立 | 創業 昭和15年頃 |
事業内容 | 料理店の経営 |
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備考 | 情報誌「ISICO」vol.66より抜粋 |
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掲載号 | vol.66 |