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石川県が創設した「いしかわ産業化資源活用推進ファンド(活性化ファンド)」の認定企業にスポットを当て、地域の資源を生かした商品開発について紹介する。
箔座が一昨年10月に東京・日本橋にオープンした「箔座日本橋」が好調だ。複合商業施設「コレド室町」の1階にある約180平方メートルの店舗では、器やバッグ、アクセサリー、化粧品、スイーツなど、金箔を使った約1,000アイテムを販売しており、連日、多くの人でにぎわっている。
多岐にわたるアイテムの中でも、箔座のオリジナリティーを際立たせているのがファッション、コスメといった美をテーマにした商品群だ。ファッション分野では、金沢の店舗と異なる客層を意識したバッグやアクセサリーをラインアップ。好みの箔と天然石を組み合わせて自分だけのネックレスやブレスレットを作るセミオーダー受注会、腕や胸元に直接金箔をあしらうボディアートといった新企画も注目を集めている。
コスメ分野では、美容液などの基礎化粧品にとどまらず、金箔の入った口紅やアイシャドウ、チークといったメイクアップ用の化粧品までを幅広く品ぞろえする点が特徴だ。
和菓子の榮太樓總本鋪(えいたろうそうほんぽ)の人気商品を金箔で覆った「一寸金鍔(いっすんきんつば)・小判金鍔(こばんきんつば)」など、日本橋の老舗とのコラボレーションにも積極的に取り組んでいる。
出店に際しては、「いしかわ産業化資源活用推進ファンド(活性化ファンド)」の補助事業を活用して、直営店ならではの強みを生かした店頭プロモーション活動を繰り広げた。
「いつかは東京に旗艦店を」。高岡美奈専務が温めていたそんなプランが実現したのは、「伝統と革新」をコンセプトに日本橋再開発に取り組む三井不動産が、伝統の技術を生かしながら意欲的に新商品を開発する箔座に出店要請したことがきっかけだった。日本橋周辺には江戸時代、金銀箔の製造・販売を統制する「箔座」が置かれていたという不思議な縁も決断を後押しした。
革新に挑む箔座を象徴するのが、独自に開発した純金プラチナ箔だろう。同社では約10年前に、融点が異なるため難しいと言われてきた純金とプラチナの合金製箔に成功。純金に1%のプラチナを配合した「永遠色(とわいろ)」、10%のプラチナを配合した「久遠色(くおんいろ)」の純金プラチナ箔を商品化した。高岡専務が「従来の金箔ほど煌(きら)びやかでなく、日本人の肌色に合う」と評する純金プラチナ箔は、その後、ファッション、コスメ分野での商品開発に弾みをつけた。
「金箔はアイデア次第で可能性が無限に広がる素材。皆さんに楽しんで使ってもらえるよう、今のスタイルに合った商品を提案したい」と力を込める高岡専務。金沢の店舗には関東からの観光客が多いことから、新商品や新サービスの評判を日本橋で見極め、好評だったものを順次取り入れていく計画だ。
企業名 | 箔座 株式会社 |
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創業・設立 | 設立 昭和51年8月 |
事業内容 | 各種金・銀箔商品の企画開発と製造販売、金箔活用のコンサルテーションとプロデュース |
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備考 | 情報誌「ISICO」vol.66より抜粋 |
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掲載号 | vol.66 |