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北日本ジオグラフィは石川県内で最も古くからある測量会社だ。測量は道路の建設やまちづくりに欠かせない仕事だが、発注元のほとんどは国や地方自治体であり、公共事業の減少に伴って、事業環境は厳しさを増している。こうした現状を踏まえ、同社では、測って終わりという従来型の業務に加え、計測したデータを活用したり、他の情報と組み合わせたりして官公庁や民間企業に新たなサービスを提供しようと意欲的に取り組んでいる。
北日本ジオグラフィは今年6月3日の「測量の日」に合わせ、ホームページを一新した。リニューアルと同時にホームページ上に公開したのが新開発の「世帯数ナビ」である。これは石川県内の地図データと国勢調査の統計情報をリンクさせたシステムで、地図上に町ごとの世帯数や人口を数段階に色分けして表示する。
地図は同社もデータの整備、更新に携わる国土地理院の電子国土基本図をベースにしており、人口を男女別や年代別に表示させることも可能だ。また、地図上には、銀行や郵便局、学校、幼稚園・保育園、コンビニの位置がひと目で分かるよう表示されている。利用料は無料で、誰でも自由に使えるようになっている。
同社の磯野秀和社長は「どこに、どんな人が何人住んでいるのかという情報は商圏の分析に不可欠。例えば、独自のマーケティングシステムを持たない中小飲食店などが出店計画を立てる際に役立ててほしい」と期待を寄せる。
便利な仕組みを無料で提供するのには二つの理由がある。一つは地図データと各種情報を組み合わせれば使いやすくなることを多くの人に体感してもらうため、もう一つは一人でも多くの利用者からニーズを探るためである。サービス開始後、「地図で標高が分かれば防災に便利」との意見が寄せられ、早速、改良を施した。
磯野社長は「使っているうちに、さまざまな要望が出てくるはず。ゆくゆくはそうした要望をとらえて企業ごとにカスタマイズしたサービスを提供し、ビジネス化したい」と戦略を描く。
企業名 | 株式会社 北日本ジオグラフィ |
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創業・設立 | 創業 昭和27年4月 |
事業内容 | 地上測量、空中写真測量、深浅測量、地理空間情報コンサルタント |
関連URL | 関連URLを開く |
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備考 | 情報誌「ISICO」vol.66より抜粋 |
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掲載号 | vol.66 |