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軽くて耐衝撃性に優れた炭素繊維の複合材を開発

印刷ページ表示 更新日:2012年9月11日更新

トライアングル

県内では、産学官の連携によってニュービジネス創造を目指す動きが本格化しています。
ここでは、その実例に迫ります。

サンドイッチ構造で衝撃を吸収

新たに開発した炭素繊維複合材料で作った試作品。

 丸井織物では産学官連携によって、軽量で耐衝撃性に優れた新しい炭素繊維ハイブリッド複合材料(CFRP)を開発した。
 このCFRPは、ガラス発泡コア材を炭素繊維織物で挟み込み、さらにポリアリレート液晶繊維(以下、液晶繊維)の織物で挟んだサンドイッチ構造が特徴だ。軽量な発泡コア材を中心部に用いることで、炭素繊維織物だけを積層した場合と比べ、重さは半分以下となっている。また、高強度・高弾性の液晶繊維が表面にあるので、衝撃が加わった場合でも変形が少ない上、貫通しにくくなっており、仮に貫通したとしても破片が飛び散らないようになっている。
 鉄よりも強く、アルミよりも軽いCFRPは、自動車の車体に用いれば、軽量化によって化石燃料の使用が抑えられ、排気ガスの低減に役立つと期待を集めている。しかし、従来のCFRPは衝撃で破損しやすく、飛び石や落石が貫通する恐れがあるため、耐衝撃性の向上が求められていた。
 開発に当たっては、クボタリサーチジャパン(東京都)、ワイエムポリマックス(能美市)、平松産業(能美市)、優水化成工業(宝達志水町)、一村産業(金沢市)と連携したほか、県工業試験場、東京大学の協力を得た。経済産業省の戦略的基盤技術高度化支援事業に採択され、平成21年度から3年計画で取り組んだ。

複雑な形状にも対応 加工時間も短縮

 加工のしやすさも特徴の一つだ。丸井織物では、炭素繊維や液晶繊維の糸の太さや織物の組織を検討し、しわが寄らずに立体的な形状に成形できる織物を開発した。この結果、織物の積層工程にかかる作業時間を従来のCFRPより90%も低減できるケースもあるという。
宮本社長 また、サンドイッチ構造にしたコア材と織物に真空圧を利用して樹脂を含浸させ、近赤外線照射で硬化させる成形技術を開発し、5分以内で成形できるようになった。従来の成形技術に比べても短時間で、コストも安く抑えられる。
 同社では、自動車のほか、輸送機械や産業機械等での利用を見込んでおり、既に立体的で複雑な形状の部材の試作を成功させた。今後は、顧客のニーズに合わせて試作に取り組む計画だ。同社の宮本徹社長は「さらに用途が具体化すれば、今まで気付かなかった新たな課題が見えてくるはず」と話し、さらに技術開発を進めながら本格採用を目指していく。

企業情報

企業名 丸井織物 株式会社 
創業・設立 設立 昭和31年4月
事業内容 合繊織物・編み物の製造

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備考 情報誌「ISICO」vol.65より抜粋
添付ファイル
掲載号 vol.65


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