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石川県が創設した「いしかわ産業化資源活用推進ファンド(活性化ファンド)」の認定企業にスポットを当て、地域の資源を生かした商品開発について紹介する。
OHARAでは全国で唯一、粉末にした竹を人工樹脂に混合したWPC材(合成木材)の販売・施工に取り組んでいる。商品ラインアップは多彩で、床材としてだけでなく、WPC材を加工し、ベンチやスノコ、プランターとして商品化している。
竹粉を使ったWPC材の特徴は、竹の持つ多岐にわたる性質が生かされている点だ。例えば、柔軟性が高く軽い上、天然木に比べて耐久性が優れている。直射日光の当たる場所で使用してもほとんど変色しない。気温や湿度で伸び縮みすることも少なく、抗菌性や脱臭性にも高い効果が期待されている。
環境に優しい点も特筆すべきことのひとつだ。現在、全国各地で手入れの行き届いていない竹林が増え、繁殖力の強いモウソウチクが森林を浸食して、生態系に悪影響を及ぼす竹害が社会問題となっている。加えて、竹は根が浅く、荒れた竹林では地滑りなどの危険性も高まる。
同社がWPC材の取り扱いを始めたのは、これらの被害を少しでも食い止めたいとの思いからだ。竹粉のWPC材加工は特許技術を持つ中国・湖州の製造会社で行っているが、「少しでも古里の里山保全につなげるため、産業廃棄物として処理していた県内産の竹を輸出し、原料に使っている」と大原幸江社長。県内産の竹は中国産と種類が異なり、建材としての強度を確保する必要から、現状では竹粉への使用率は40%にとどまっているものの、同社では「いしかわ産業化資源活用推進ファンド(活性化ファンド)」を生かし、県内産の比率を上げても品質を維持できるよう、研究を進めている。
さらに、混合する人工樹脂には廃プラスチックを使用しており、100%リサイクルの製品である。もちろん、有害物質は使っておらず、シックハウス対策も万全。新たなエコ素材として、平成23年度石川ブランド優秀新製品にも選ばれている。
一昨年の販売開始以来、東京・六本木の大手商業ビルにベンチを納入したり、高速道路サービスエリアのデッキ材として施工したりするなど順調に取引先を拡大している。今年11月からは、壁材としての取り扱いを始める予定で、一般住宅への普及も視野に入れている。
「時代の流れに合わせた動きに知恵を絞っていきたい。その一環として、ホームセンターでDIY用のキット販売も考えている」と大原社長は話しており、新たなエコ建材を武器に販路の拡大に力を注いでいる。
企業名 | 株式会社 OHARA |
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創業・設立 | 設立 平成22年8月 |
事業内容 | エコ対応商品・建築建材などの販売・施工 |
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備考 | 情報誌「ISICO」vol.65より抜粋 |
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掲載号 | vol.65 |