本文
新規開業者の15%前後※は女性が占めている。石川県内でも自身の創意工夫と努力で会社を興し、事業を発展させようと奮闘を続けている女性経営者は少なくない。
そこで、今回の特集ではISICOが主催する「革新的ベンチャービジネスプランコンテスト」で過去に入賞実績を持つ二人の女性起業家に注目した。
※日本政策金融公庫総合研究所調べ
心結の越田晴香代表が手がけているのは、金沢を旅行する観光客や結婚式などに出かける地元客を対象とした着物のレンタル・着付け事業である。金沢駅の近くにある店内には、大正・昭和期のアンティーク着物や加賀友禅など約650着をそろえ、平成22年の開業以来、順調に利用客を増やしている。
起業や商品プランづくりの根底に流れているのは、「女性ならではの気付きや想い」(越田代表)である。例えば、店内に並ぶ着物の多くは地元の女性から譲り受けたものだ。せっかく仕立てた着物もライフスタイルの変化によって着る機会が減り、たんすに眠らせたままという女性も多い。そんな現状に気付いた越田代表は「それはもったいない。必要としてくれる人に着てもらう仕組みを作れば、お客様はもちろん、着物を作った方や提供してくれた方にも笑顔が生まれる」と考え、日本舞踊の経験から得た着付けの技術を生かして事業化を思い立った。
また、心結では着付けした後、カメラマンが観光地に同行して撮影するプラン、琴や日本舞踊を体験するプランなど、旅行がさらに楽しくなるサービスを考案し、人気を博している。こうしたプランは思い出に残る旅にしてもらうために、他ではできない“金沢らしい、心結らしい特別な体験”を提供しようという想いから企画されたものだ。
各種プランと同様に力を入れるのが、販売チャンネルの開拓だ。現在は自社のホームページや旅行雑誌の記事を見て予約する人がほとんどだが、より多くの人に心結を知ってもらおうと、今年4月から近畿日本ツーリストと提携し、金沢旅行のオプションプランに加えてもらったほか、5月にはホテル日航金沢と提携して宿泊とのパックプランの提供を開始した。
外国人観光客の誘客にも積極的に取り組んでいる。とりわけ有望視しているのが親日的で、個人旅行客数が伸びている台湾だ。越田代表は昨年2度、台湾を訪れて現地の旅行会社に営業をかけ、オプションプランに採用してもらったほか、添乗員に自社のサービスをPRした。今年8月には、中国語(繁体字・簡体字)、英語のホームページを充実させる。外国人の利用は現在5%以下だが、小松-台北便は今年9月に週5便となることなどから、利用者の増加に期待をかける。
2年半後には北陸新幹線金沢開業が迫っており、越田代表はそれまでに、例えば料亭など、金沢に来てくれる観光客をおもてなししたいという気持ちで協力してくれる事業者と提携し、新たな商品プランの実現を目指すほか、「金沢=着物(和)の街」というイメージをfacebookなどで広めていくといった事業計画を温めている。
企業名 | 株式会社 心結 |
---|---|
創業・設立 | 創業 平成22年5月 |
事業内容 | 着物のレンタル・着付け |
関連URL | 関連URLを開く |
---|---|
備考 | 情報誌「ISICO」vol.65より抜粋 |
添付ファイル | |
掲載号 | vol.65 |