【巻頭インタビュー】次世代産業の創造を加速　企業の省エネ対策にも目配り －２

巻頭特集

産学官の研究開発から、経営支援、事業化、販路開拓、人材確保・育成にいたるまで、企業のさまざまなニーズに対して、豊富な支援メニューできめ細かくサポートするISICO。今年度は石川の将来を担う新たな産業の育成に向けて支援を強化したほか、電力需給に対する不安の高まりを受け、エネルギーコスト削減を通じた企業の競争力アップにも取り組みます。
ISICOの事業やその狙いについて、当財団の理事長である谷本正憲知事に聞きました。

ISICOは今年2月に石川県立大学と、今年3月に東京大学先端科学技術研究センターと連携協定を結んだ。この狙いは。

　次世代産業の着実な成長や県内企業の開発力強化、産業人材の育成のためには、企業と大学の連携が大切である。ISICOは創設からこれまでに得た広範な企業ニーズを持っており、大学の研究シーズの活用を図るため、両者を橋渡しする役割を果たしている。
　こうした中、県立大とは平成21年度から3年にわたって文部科学省のプロジェクトで機能性食品の開発に取り組み、米を使ったヨーグルトなど29点もの試作品を生み出した。石川県にとって食品産業は主力産業の一つであり、今回の連携協定の締結をきっかけに、ISICOによる県立大と企業との間のコーディネートを一層活発なものとし、健康をテーマにした食品の共同開発や事業化をさらに加速させたい。
　一方、東京大学先端科学技術研究センターは、今注目されている再生可能エネルギーや省エネルギーの技術をはじめ、さまざまなシーズを持っている。まずは県内企業に同センターが持っているシーズに関する情報を提供し、その後、企業と研究者が連携して新たなビジネス展開につながっていくことを期待している。

ISICOでは平成20年度に「いしかわ産業化資源活用推進ファンド（活性化ファンド）」を創設し、地域資源に磨きをかける商品開発を支援している。
これまでの成果や今年度の支援拡充策は。

　活性化ファンドでは、伝統産業、豊かな食材、自然環境といった石川県の恵まれた産業化資源を活用した新たなビジネスの創出をはじめ、「農商工連携」「医商工連携」の取り組みなどを支援している。初年度に採択した案件では、商品開発・販路開拓を目指した企業の93％が事業化、商品化を達成した。これまでのヒット商品としては、和紙とレーヨンを織り込んだ繊維や、ぬか漬けをよりまろやかに仕上げた食品などがある。既採択案件のフォローアップに努めるとともに、新たに事業化にチャレンジする企業の公募を実施する。
　また、商品開発の支援にとどまらず、年に1 度、「石川のこだわり商品フェア」を開催して消費者やバイヤーの反応を得る機会を提供し、販路開拓の足がかりを作っている。
　販路開拓に当たっては、国内市場に加え、経済成長が著しい中国などアジアを中心とした海外に目を向けることも大切だ。そこで、昨年度は活性化ファンドに海外展開支援枠を創設し、海外市場を見据えた新商品開発から販路開拓までに取り組む企業の支援をスタートした。今年度はこの採択枠を10件へと倍増し、海外を視野に入れた企業の挑戦を支援する。

県外企業との取引拡大に向けた支援としては、技術提案型の展示・商談会、受注開拓懇談会などがある。
今年度の取り組みは。

　今年度は10月にデンソー（愛知県刈谷市）で技術提案型の展示・商談会を開くほか、名古屋で受注開拓懇談会を開催する予定である。また、大手メーカーの技術者等を石川県に招いての視察・商談会も開催する。このほか、受注開拓課職員や受注開拓アドバイザーが県外の大手・中堅発注企業へ訪問、折衝し、県内中小企業の安定受注の確保や受注品目の多角化、技術の高度化、新分野進出等きめ細やかな支援をする。

利用者へメッセージを。

　ISICOは平成11年の創設以降、県内中小企業の多様なニーズに対応してきた。今年度も引き続き、意欲を持った企業をしっかりサポートし、個々の企業の持っている強みや独自性を伸ばしていきたいと考えているので、ぜひお気軽にご相談いただきたい。