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石川県が創設した「いしかわ産業化資源活用推進ファンド(活性化ファンド)」の認定企業にスポットを当て、地域の資源を生かした商品開発について紹介する。
横井商店では「いしかわ産業化資源活用推進ファンド(活性化ファンド)」を利用して「松波飴」を甘味調味料として用いたレシピ集を作成し、販売促進に役立てている。
松波飴とは、能登町松波地区で約500年前から伝わる素朴な味わいの飴で、うるち米と大麦だけを原料に作られる。戦前までは各家庭で作られていたが、今も製造を続けているのは横井商店だけである。
昨年2月に完成したレシピ集はA3判の紙をハガキサイズに折りたたんだもので、照り焼きチキン、大学芋、玉子焼き、プリン、アイスクリーム、きな粉ケーキの6品の材料と作り方を掲載した。このほか、そうめんや牛丼、生姜焼きによく合うつゆやタレの配合、松波飴を製造する横井家で風邪をひいたときに飲む「大根飴」の作り方が紹介されている。
レシピ集は横井商店をはじめ、能登空港や道の駅、東京・有楽町にある石川県のアンテナショップ「加賀・能登・金沢 江戸本店」など松波飴を取り扱う約20店、能登の産品を販売するネットショップ「能登スタイルストア」で購入者や希望者に配布している。
購入者からは「レシピを参考に作ってみたらおいしかった」「友人にも教えたい」といった声が寄せられ、お土産に50g入りの商品を買った人が調味料用にと500gや1kg入りの商品をあらためて購入するケースもあるという。
「米が不足していた時代の名残か、地元で飴は貴重品です。甘味調味料として使うことはあまりありません」。そう話す横井千四吉さんがレシピ集の作成を思い立ったのは、首都圏の消費者から寄せられた「料理にも重宝します」という声だった。
レシピの作成には、珠洲市内の和ダイニングの経営者で、以前から松波飴を調味料として活用していた西川幸彦氏に協力を仰いだ。
レシピ集に掲載したプリンは、昨年11月にISICOが香林坊大和で開催した「石川のこだわり商品フェア2011」で限定販売したところ、自然な甘みが好評で、今後は、まとまった数の注文が確保できれば製造、販売を本格化する計画だ。
「ゆくゆくは昔のように地元の山林で採れる薪を使って飴を炊きたい」と話す横井氏。その言葉には伝統的な製造法に対するこだわりだけでなく、「手間暇をかけても、能登の里山保全の一端を担いたい」という思いが込められている。
企業名 | 横井商店 |
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創業・設立 | 創業 昭和初期 |
事業内容 | 松波飴の製造、販売、古民家再生事業 |
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備考 | 情報誌「ISICO」vol.63より抜粋 |
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掲載号 | vol.63 |