本文
石川県が創設した「いしかわ産業化資源活用推進ファンド(活性化ファンド)」の認定企業にスポットを当て、地域の資源を生かした商品開発について紹介する。
空気が乾燥しやすい冬場になると、手荒れが気になるという人も多いだろう。そんな悩みを解決できればと小山カバーリングが開発したのが「コラーゲンの保湿手袋」である。
この手袋の素材は、“コラーゲンペプチド”を練り込んだ特殊な糸だ。コラーゲンペプチドとはゼラチン状のコラーゲンを酵素で分解したもので、抜群の保湿力を誇る。繊維がどのくらい水分を含むことができるかを表す水分率は15.87%で、絹(12%)や綿(8%)をはじめ、他の
繊維の数値を大きく上回る。
「手袋を着けるだけで、手がハンドクリームを塗ったような状態に保たれる」。開発を担当した小山祐一専務がそう例えるように、肌の乾燥を抑え、手に潤いをもたらしてくれるのが特徴だ。
ISICOが昨年11月に香林坊大和で開催した「石川のこだわり商品フェア2011」で販売をスタート。同フェアでは、小山専務の想像を超える売れ行きで、「一晩、手袋を着けて寝たら肌がすべすべになった」といったうれしい反響も寄せられた。
現在、1月に立ち上げたばかりのネットショップ(http://www.collagen1587.jp/)で販売しており、今後は石川県内の美容室やエステサロンを中心に販路を開拓する計画だ。
細幅ゴム入り織物の原材料であるゴム糸販売を手がけてきた同社が、自社製品の開発に取り組んだのは今回が初めてである。人件費の安いアジア諸国へ産地がシフトする中、将来を見据えて経営基盤の強化を図るのが狙いだ。
試作、開発に必要となる資金については、「いしかわ産業化資源活用推進ファンド(活性化ファンド)」の補助事業が力強い後押しとなった。
商品の製造に当たっては、小山カバーリングの技術がしっかりと生かされている。同社が長年培ってきた撚糸の技術を駆使して、風合いがよく、毛玉ができにくいように糸を改良したほか、優れた保湿力を最大限に生かすため、コラーゲンを練り込んだ糸が肌にしっかりとフィットするよう編み方を工夫した。
今後の展開について小山専務は「この糸を使った商品をさらに充実させたい」と力を込め、既にレギンスなど新商品の開発を進めている。また、小山専務は「水分率が高いという特性を生かして、汗をかいても蒸れにくい商品を作ることもできる」と話し、シャツや靴下など夏用の商品開発に向けても、意欲を燃やしている。
企業名 | 有限会社 小山カバーリング |
---|---|
創業・設立 | 創業 昭和25年12月 |
事業内容 | 細巾織物用横巻ゴム、 カバードヤーン、繊維製品の企画・製造 |
関連URL | 関連URLを開く |
---|---|
備考 | 情報誌「ISICO」vol.62より抜粋 |
添付ファイル | |
掲載号 | vol.62 |