石川県が創設した「いしかわ産業化資源活用推進ファンド(活性化ファンド)」の認定企業にスポットを当て、地域の資源を生かした商品開発について紹介する。
ブーケやコサージュなど、プリザーブドフラワーを使ったオリジナル商品を製作する小山では、「いしかわ産業化資源活用推進ファンド(活性化ファンド)」を活用して、これらの花びらに金箔を施した新商品を開発した。「箔プリザーブドフラワー」の商品名で展開しており、晴れの日を華麗に彩るアイテムとして人気を博している。
プリザーブドフラワーとは、生花に特殊な保存液を吸わせ、長期間の保存を可能にしたもの。ドライフラワーと違って、色鮮やかで、手触りも生花のように柔らかく、しっとりしているのが特徴である。着色料を吸わせれば、自然界にはない色合いを出すことも可能だ。
同社では、品質のいい海外産のプリザーブドフラワーを使用。一旦、すべての花びらを取り外した上で、花びらに金箔を貼り付けたり、細かく裂いた金箔を接着する。一見、平面に見える花びらにも、細かな凹凸があり、ここに手作業で立体的に金箔を貼り付けるのが同社独自の技術だ。
その後、花の形が最も美しく見えるよう、花びらの位置や角度を調節しながら組み上げ、種類や大きさ、色の違う花を組み合わせたり、水引や組紐といった工芸品をあしらったりしてアレンジ。色鮮やかなプリザーブドフラワーに金箔の輝きが加わることで、より華やかで、より気品あふれる印象に仕上がっている。
多くの花店や美容院、貸衣装店などと取引する小山が、プリザーブドフラワーや布製の造花などを製作するフラワー事業部を立ち上げたのは5年前にさかのぼる。実は同社の主力は橋梁上部工事をはじめとする土木工事である。30代で家業を継いだ小山百代社長が、プリザーブドフラワーアレンジメント・デザイナーとして活躍する木村純子氏との出会いをきっかけに、女性の感性を生かせる新分野への参入を決めた。
金箔を取り入れるヒントとなったのは、近年人気の“和婚”だった。和婚とは、和風の要素を取り入れた挙式や披露宴を指す。和服に洋風の髪型を合わせるのもその一つで、こうしたスタイルにも映えるブーケをと考え、金沢が全国シェア99%を誇る金箔の活用にたどり着いた。金箔の取り扱いや材料用金箔の仕入れは、箔一(金沢市)の協力を得た。
現在、フラワー事業部を切り盛りするのは、小山社長のほか、女性の在宅ワーカーやパートタイマーだ。小山社長はフラワー事業に経営の新たな柱として期待をかけると同時に「この事業を通して、地域の女性と一緒に仕事ができる環境を作りたい」と力を込める。今後は同社が企画する商品を地元の女性と連携して製作する体制を整える考えで、「ゆくゆくは七尾の街全体がアトリエのようになれば」と思いをはせている。
企業名 | 株式会社 小山 |
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創業・設立 | 設立 昭和63年11月 |
事業内容 | プリザーブドフラワー商品や造花・アートフラワー商品の企画・製作・販売、土木工事 |
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備考 | 情報誌「ISICO」vol.61より抜粋 |
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掲載号 | vol.61 |