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ISICOでは、企業の設備投資を支援するため設備貸与制度で、企業の成長を後押ししています。制度を利用して事業の拡大に成功した企業の取り組みを紹介します。
川北産業の主力は危険物や毒物、劇物、一般品を保管する倉庫業である。床面積900平方メートルで、1,000tの品物を保管可能な危険物倉庫を備えるなど、日本海側最大級の規模を誇っている。
今年3月には新たに「温度管理危険物倉庫」を建設した。床面積910平方メートルの倉庫は全6 室で構成されており、常温のほか、危険物の性質に応じて、2.8℃、10.25℃など5つの温度帯で保管できるようになっている。
「厳密な温度管理を要求される仕事が増えてきた」。そう話すのは同社の山本外志男社長だ。同社が保管する危険物には、トルエンやメタノールなど、電子部品の原材料として使われるものも多く、これらは少しの温度変化でも品質が劣化してしまうという。
室温を管理できる倉庫を新設し、こうしたニーズを取り込むことで、従来からの得意先である化学メーカーに加え、電子機器やシリコン製品のメーカーとの取引も拡大した。売上増だけでなく、経営リスクの分散にもつながっている。
新倉庫の建設にあたってはISICOの設備貸与制度を活用して、24時間体制で室温を制御するエアコンや外気の侵入を防ぐシートシャッター、万が一の火災に備えた二酸化炭素消火設備を導入した。
どの設備も防爆仕様と呼ばれ、火花が散らないなど爆発を防止する構造となっている。費用も通常の設備の数倍とあって、低利で割賦できる制度は大きな後押しとなった。
新倉庫の稼働率は当初の見込みを上回り、常時90%程度で推移している。東日本大震災の影響を受け、太平洋側で保管していた危険物を預かってほしいとの要望も多い。
石川県や北陸の企業にとっても、あらかじめ近場でストックしておけば、雪で交通網が麻痺した場合に原材料を切らさずに済むといったメリットがある。また、関東や関西を経由するのではなく、金沢港や富山新港を利用してロシアや中国と原材料や製品をダイレクトに輸出入すれば、コストダウンやリードタイムの短縮につながる。
山本社長は2~3年後をめどに温度管理のできる危険物倉庫をもう1棟、建設する計画にしており、こうした合理化策の提案に力を入れる考えだ。
企業名 | 株式会社 川北産業 |
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創業・設立 | 設立 昭和53年6月 |
事業内容 | 危険物・医薬用外劇物・一般品の保管、樹脂製品の製造、化学原料の粉砕・加工など |
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備考 | 情報誌「ISICO」vol.60より抜粋 |
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掲載号 | vol.60 |