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ISICO は10月12~14日、東京ビッグサイトで開催された「ITpro EXPO 2011」に出展し、県内企業17社の技術やサービスを紹介した。これは企業向けICTソリューションの総合展示会で、ISICO の出展は昨年に続き2回目。期間中、約6万4千人が来場した。
県内に限らず、中小のIT 企業にとっての課題は「受託開発中心のビジネスからの脱却」と言われる。中小IT企業の多くはこれまで、各種システムやホームページなどの受託開発を事業の主力に据えてきたが、IT投資の減少、海外企業への開発委託の拡大などを背景に、経営環境は厳しさを増している。これを解決するには「独自の製品やサービスの開発」に力を入れ、受託開発への依存度を下げることが必須というわけだ。
そこで、今回の「明日へのチャレンジ」では、ISICO が「ITpro EXPO 2011」で紹介した企業の中から、自社製品の開発、販売に活路を見い出す3社の取り組みを紹介する。
(株)アクロスソリューションズ 金沢市 https://www.acrossjapan.co.jp/
アクロスソリューションズが提案するのは、中小企業向けのモバイル受発注システム「MOS」(モバイル・オーダリング・システム)である。最大の特徴は、企業間のオンライン受発注システムに携帯電話やスマートフォン、iPadといったモバイル端末を取り入れた点だ。発注者がモバイル端末の専用画面に表示される商品名に応じて必要な数量を入力すると、その内容が受注した企業の基幹システムに反映される。
従来のオンライン受発注システムは、受注企業に専用のサーバやソフトなどが必要だったが、MOSはクラウド型(※)で、導入コストを15分の1程度に低減した。発注側はモバイル端末を用いることで、パソコンを置くスペースのない小規模店舗にも導入できる。
すでに酒類卸の日本海酒販(富山県)が酒販店や飲食店との取引の一部に活用。同社ではこれまでファクシミリや電話で注文を受け付け、社員が基幹システムに入力していたが、MOSの導入によって受注データの入力作業が軽減され、人件費削減にもつながった。飲食店からも「手軽に発注できて便利」との声が寄せられている。今後は、食品業界や理美容業界などへの提案を計画。アクロスソリューションズとしては初の自社製品であり、野村充史社長は「これを足がかりに、全国展開していきたい」と声を弾ませる。
※インターネットを経由してサーバやソフトの機能を活用する仕組み
企業名 | 株式会社 アクロスソリューションズ |
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創業・設立 | 設立 平成18年5月 |
事業内容 | 流通業向けICTソリューション |
関連URL | 関連URLを開く |
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備考 | 情報誌「ISICO」vol.60より抜粋 |
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掲載号 | vol.60 |