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石川県が創設した「いしかわ産業化資源活用推進ファンド(活性化ファンド)」の認定企業にスポットを当て、地域の資源を生かした商品開発について紹介する。
お香やアロマを販売するアロマ香房焚屋は、オリジナルの香りが楽しめるお守り「香福袋(こうふくぶくろ)」を開発した。袋は小紋柄の加賀友禅の生地で作られており、中に桜オイルをベースにさまざまな香料をブレンドした香り袋が入っている。この甘くさわやかな香りは、「ミス金沢」と名付けられており、香司(こうし)と呼ばれるお香を調合する専門家の資格を持った同店の三宅琢也代表が、優しく上品な金沢のイメージで調合した。もちろん、開運、招福にご利益のある護符も収められている。
主な購入者は金沢を訪れる観光客だ。焚屋は長町武家屋敷跡のすぐ近く、せせらぎ通り沿いに店を構えており、今年4月の発売以降、お土産として売れ行きが伸びている。
「香りは記憶と密接なかかわりがあるんです」。そう説明するのは三宅代表で、香福袋には、この香りによって金沢のことを思い出してもらい、再訪につながればとの思いが込められている。
8月末には自社のホームページ上でも販売をスタートした。「金沢を訪れたことのない人にも購入してもらい、いい香りで金沢のイメージをもっとよくしたい」(三宅代表)と意欲を燃やしている。
香福袋は「香りで心も体も地域も幸福に!」という同店の経営理念を具現化しようと考案された商品だ。開発にあたっては「いしかわ産業化資源活用推進ファンド(活性化ファンド)」の支援を受けた。
開発の出発点となったのは、財布やバッグの中に入れて使う小型の香り袋である。野々市町から金沢市の中心部へと店舗を移転させる際、この商品に、もっと金沢らしさをプラスできないかと試行錯誤を重ね、加賀友禅の生地の活用や金沢をイメージした香りの調合にたどり着いた。
最近では、香福袋に「いつもありがとう」といったメッセージを刺繍したタイプを新たに発売したほか、名刺入れや財布に入れる友禅和紙の薄型香り袋「せせらぎ香」など、自社商品の開発を加速している。一方で、香福袋は尾山神社(金沢市)や總持寺祖院(輪島市)のお守りとしても販売されており、神社や企業のオリジナル商品としても販路拡大を計画する。
香りという新たな切り口で地域活性化を目指す取り組みに、今後も注目が集まりそうだ。
企業名 | アロマ香房焚屋 |
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創業・設立 | 創業 平成20年3月 |
事業内容 | お香・アロマの販売 |
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備考 | 情報誌「ISICO」vol.60より抜粋 |
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掲載号 | vol.60 |