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県内では、産学官の連携によってニュービジネス創造を目指す動きが本格化しています。
ここでは、その実例に迫ります。
産業用のロボットシステムなどを製造するメカトロ・アソシエーツは、ロボット操作の初心者でも簡単に扱えるプラズマ切断ロボットシステム「カットリーナ」を開発した。
最大の特徴は、対話式のプログラミング機能である。通常、産業用ロボットは数字やアルファベットの配列によってプログラミングするが、熟練者でなければ使いづらく、習得に時間がかかるといった問題点があった。「カットリーナ」はプログラミング用の端末に、ロボットからの問いかけに答えるかたちで、寸法や形、鋼材の厚さや種類など、必要な情報や数値を入力するだけで、切断システムを稼働させることができる。
このシステムでは、円や長方形、六角形といったあらかじめ決められた形状に切断するほか、溶接の前処理として鋼材の端を斜めに切り落とす開先切断が可能。「カットリーナ・プラス」と名付けられたソフトウェアを併用すれば、2次元のCAD/CAMデータをロボットプログラム用のデータに変換してくれるので、直線や曲線の図形も自由自在に切断することができる。
これらの製品は、今年度の石川ブランド優秀新製品の銅賞に選ばれた。
開発にあたっては、安川電機(北九州市)からロボットコントローラーの開発ソフトを提供してもらったほか、データの変換技術についてはエーエスエーシステムズ(北九州市)の協力を仰いだ。また、山口東京理科大学の永田寅臣准教授がロボット制御に必要なアルゴリズムの開発を指導し、石川県工業試験場が試験、評価を担当した。今回の事業で初めて産学官連携に取り組んだ酒井良明社長は「開発のスピードアップにつながった」と笑顔を見せる。
平成21年度に石川県の「競争力強化技術開発支援事業」に採択され、2年がかりで開発し、今年7月末から販売をスタート。展示会等での評判は上々で、同社では年間40台の販売を目指す。来年4月には中国江蘇省の常熟で小松鋼機(小松市)と日本企業同士による合弁会社を稼働する計画にしており、中国での販売も視野に入れている。
「例えば切断機を生クリームの絞り器に取り換えれば、ケーキに絵を描くこともできる」。酒井社長はそう話し、「今回得たノウハウを他の用途にも応用したい」とアイデアを練っている。
企業名 | メカトロ・アソシエーツ 株式会社 |
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創業・設立 | 設立 平成18年10月 |
事業内容 | 各種ロボットシステムの開発、治具の設計・製作 |
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備考 | 情報誌「ISICO」vol.59より抜粋 |
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掲載号 | vol.59 |