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石川県が創設した「いしかわ産業化資源活用推進ファンド(活性化ファンド)」の認定企業にスポットを当て、地域の資源を生かした商品開発について紹介する。
マリブデザインファクトリーが企画、開発した九谷焼のボールマーカー「彩華(さいが)」の売れ行きが好調だ。これは、ゴルフでボールのあった位置の目印として使うもの。昨年3月から、高島屋や伊勢丹、三越といった首都圏の大手百貨店などで販売しており、今年2月までにおよそ600個を販売している。
彩華は直径26.5mmの円形の生地に、作家が一つずつ丁寧に絵付けを施し、焼き上げたもの。制作には5名の九谷焼作家の協力を得ており、九谷五彩を使って花鳥風月を描いた伝統的な絵柄をはじめ、バラや十字架をモチーフにした現代的なタッチの絵柄など、個性が光る175種類がラインアップされている。このほか加賀蒔絵職人の手による漆器製マーカーが6種類ある。
裏側には高品質のネオジム磁石が埋め込まれており、プレー中は帽子のつばなどに装着したクリップに付けて持ち運べるようになっている。金具やパッケージもメード・イン・石川にこだわって、製造した。
「デザインの力で産地を元気にしたい」。そう考えて、これまでも九谷焼の照明器具などを商品化してきた藤田愛二代表が彩華の開発をスタートしたのは2年前のことだ。若い女性ゴルファーの間で、マーカーをクリスタル・ガラスなどで飾り付けて楽しむ「デコ盛り」が流行している。そんな情報をテレビで目にした藤田代表は、「九谷焼でもいける」と考え、作家に制作を依頼した。
ボールマーカーと言えば、スポーツブランドやキャラクターものが主流を占めるが、藤田代表は「大人が使いたくなる上品なものに仕上がった」と自信を見せる。その言葉通り、彩華は主に贈答用として人気を集めており、女子プロゴルファーの中にも愛用者がいる。
藤田代表はスポーツ分野にとどまらず、ファッションやステーショナリーの分野でも九谷焼を活用した商品開発に力を入れる方針で、すでに帯留めやペン立てを商品化した。このうちペン立ては、かつて風鎮として使われていた九谷焼の意匠をアレンジしたもので、東京ミッドダウンで限定販売したところ、すぐに売り切れたという。
藤田代表は「伝統工芸と言っても、もともとは道具であり、実用性を高めることが大事」と話し、現代のニーズに合わせた商品を考案することで、商機の拡大を目指す。
企業名 | 株式会社 マリブデザインファクトリー |
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創業・設立 | 創業 平成12年5月 |
事業内容 | 商品の企画・開発、プロダクトデザイン、Web制作など |
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備考 | 情報誌「ISICO」vol.59より抜粋 |
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掲載号 | vol.59 |