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石川県が創設した「いしかわ産業化資源活用推進ファンド(活性化ファンド)」の認定企業にスポットを当て、地域の資源を生かした商品開発について紹介する。
能登で獲れた魚介類や海藻を珍味などに加工するヤマトでは、地元産の海の幸を使って、電子レンジで加熱調理して手軽に食べられる新商品を開発している。
その第一弾として、約4年前から販売しているのが「レンジで焼きいか」(300円)だ。これは、能登町の小木港で水揚げされたスルメイカを使った商品で、内臓や軟骨を取り除いた身を天然塩で調味した後、乾燥させ、真空パックしたもの。袋に入れたままレンジで1分ほど加熱するだけで、ほどよく焦げ目が付いたあつあつの焼きイカが出来上がる。独自の手法でイカを乾燥させるほか、焼き上がるまでしっかりと熱を封じ込め、その後、自然に蒸気を逃がすようパッケージに工夫を施しているため、単に焼いたイカをレンジで温めなおす商品とは違って、焼きたてのおいしさを味わえる。
そもそも小木港は北海道の函館、青森の八戸と並ぶイカの三大漁港で、ここで獲れたイカは「小木物」として高値で取引される。中でも、「レンジで焼きいか」が使用しているのは船内で瞬間冷凍した「船凍イカ」で、イカの旨味がたっぷりと詰まっていて、食感もプリプリだ。
平成21年度には、いしかわ産業化資源活用推進ファンド事業(活性化ファンド)に採択され、助成制度を活用してパッケージの見直しなどに取り組んだ。
同社の笹野好伸社長がレンジ用商品の開発に力を入れる背景には、「能登の魚を地元で加工し、能登ブランドで流通させたい」という思いがある。品質に優れた小木産のイカも、加工用の素材として出荷されたのでは、産地がPRされる機会はない。それなら、地元で加工品を作れば、能登ブランドをもっとアピールできると考えたのだ。
商品の企画にあたっては、「マンションで暮らす都会の消費者でも、煙や生ゴミを気にせず、手軽に食べられる商品にしたい」と、レンジで最終調理する方法を考案した。
焼きイカのほかにも、これまでサザエの身を肝や能登産の味噌、日本酒で味付けした「さざえ味噌の壺焼き」(2個・800円)を商品化。今年7月に東京ビッグサイトで開かれる「ジャパン・インターナショナル・シーフードショー」には、レンジで加熱調理して食べるフクラギ、サワラ、ホッケ、カレイを出品するため、現在、試作の真っ最中である。
また、これまでは関西圏のスーパーなどに販路が限定されていたが、今年の夏までにネットショップを立ち上げ、販売チャンネルの拡大を図る計画だ。
企業名 | 株式会社 ヤマト |
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創業・設立 | 設立 昭和62年1月 |
事業内容 | 乾燥珍味食品製造、魚介類加工、鮮魚卸売 |
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備考 | 情報誌「ISICO」vol.58より抜粋 |
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掲載号 | vol.58 |