石川県が創設した「いしかわ産業化資源活用推進ファンド(活性化ファンド)」の認定企業にスポットを当て、地域の資源を生かした商品開発について紹介する。
織物を製造するオリケンでは、レーヨンと和紙を織り込んだ新素材「ネキーロ」を開発し、ストールなどに商品化して販売している。
ネキーロの特徴は和紙織物とは思えない柔らかな肌触りだ。従来の和紙織物は撚りをかけた和紙を使っていたため、硬くごわごわした感触があったが、ネキーロは織機を独自に改良し、幅2~10mmに裁断したテープ状の和紙をそのまま横糸として使用することで、独特の優しい風合いを実現した。
「和紙には吸湿性や保温性、消臭性があるので、夏は汗を吸ってくれて爽やかに、冬は温かさを保ってくれるエアコンのような素材に仕上がった。嫌な臭いも取り除いてくれる」。ネキーロの機能性についてそう話すのは亀井千代子社長である。耐久性にも優れ、繰り返し洗濯しても問題ない。
現在は、地元企業と連携してストールやハンカチ、タオルを商品化し、自社のネットショップや輪島市朝市通りにある洋品店などで販売している。洋品店では月に800~1,000枚を販売する人気ぶりだ。また、京都のメーカーと協力して製造する帽子は首都圏の大手百貨店でヒット商品となっている。
「環境に優しい天然素材で人が作ってないものを作りたい」との思いから同社がネキーロを開発したのは4年前。平成20年度には、「石川ブランド認定製品」にも選ばれた。
販売ルートは亀井社長が持ち前のバイタリティーを発揮し、開拓してきた。ストールをねじって巻くスタイルがトレードマークの俳優中尾彬氏に「着心地を試してほしい」と直筆の手紙を添えて商品を送付したところ気に入られ、以来、テレビ出演時にたびたび使ってくれているとのエピソードもある。
今年に入ると、ファッションデザイナーの三宅一生氏が展開するブランド「me ISSEY MIYAKE」のストール用生地として採用され、7月から販売がスタートするなど徐々に販路が広がってきた。
今年9月には、ISICOの平成22年度「いしかわ産業化資源活用推進ファンド(活性化ファンド)事業」に採択され、販路の拡大や用途の開発に拍車がかかる。亀井社長は今後の商品開発について「ファッション性よりも実用性を重視し、困っている人の力になりたい」と話す。既に、吸湿性に優れ、蒸れない特性を利用し、抗ガン剤治療などで脱毛に悩む人がかぶる帽子に使われており、今後は、肌触りのよさを生かし、アトピー性皮膚炎に悩む人や肌の弱い人でも安心して使える衣服や寝具の開発に乗り出す構えだ。
企業名 | オリケン 株式会社 |
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創業・設立 | 設立 平成18年9月 |
事業内容 | 各種織物製品の企画・製造・販売 |
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備考 | 情報誌「ISICO」vol.55より抜粋 |
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掲載号 | vol.55 |