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曲げても割れず縫製できる“ 柔らかな木” をバッグに

印刷用ページを表示する更新日:2012年1月16日更新

明日へのチャレンジ

昭和22年からケヤキなどの国産木材を使って食器や家具、インテリア小物といった木製工芸品を製造する谷口。
囲碁、将棋用品も手がけており、中でも碁笥の生産では約65%と日本一のシェアを誇る。安価で大量生産が容易な新素材の登場やライフスタイルの変化によって木製工芸品の需要は減少しているが、そんな中、谷口では新たな経営の柱を作るため、独自の技術開発によってファッションやステーショナリーといった分野へと木の可能性を広げている。

木と革が見事にコラボレーション

商品イメージ写真 「国内消費の70%は女性によるものと言われている。それならば、木の需要を伸ばすために何か女性をターゲットにした新商品を作れないか」。谷口正晴社長がそう考えて開発したのが「柔らかな木」と革をコラボレーションさせたバッグである。
 「柔らかな木」とは谷口が独自に開発した素材で、0.12~0.15mmという薄さにスライスした木材の裏面に、特殊な接着剤で不織布を張り合わせたもの。折り紙のように曲げても割れず、針で縫い合わせることも可能だ。
谷口社長 同社のバッグは、牛革やオーストリッチの表面に、この「柔らかな木」を縫い合わせて作られている。原料はサクラやヒノキ、タモ、黒柿、トチで、木の種類によって個性的な色合いや木目を楽しめる。どれも樹齢100年以上の天然木を材料としているだけに、一つとして同じ模様のバッグは存在しない。
 これまでにハンドバッグやトートバッグ、ショルダーバッグといったバッグ類のほか、財布、コインケース、名刺入れ、パスケースを商品化。価格は牛革のバッグで36,750円~となっている。
 これらの商品は、同社がこれまで取引してきた首都圏の大手百貨店、金沢市と穴水町にある自社店舗、ネットショップで昨年6月から販売しており、1年間で目標に掲げていた700万円の売り上げを達成し、順調なスタートを切っている。

商機拡大へ バッグが広告塔に

温かみのある手触りで、木の香りも爽やか 同社が「柔らかな木」の開発にとりかかったのは、今から10年前。インテリア小物や雑貨は順調に売れていたが、食器やギフト品の需要は先細る一方だったことから、「余力のあるうちに新たな事業の柱を作りたい」(谷口社長)と新商品の開発に乗り出した。
 発想のヒントとなったのは、明かりを付けると木目が浮かび上がる木製ランプシェードを製作したことだった。谷口社長は木材をもっと薄く、もっと加工しやすくすればさらに用途が広がると考え、開発に着手。薄くスライスした木材は割れやすく、そのままでは十分な強度や柔軟性が確保できないため裏側に和紙や革を張り合わせたり、接着剤に改良を加えるなど、試行錯誤を重ねていった。木材に樹脂を含浸させて強度を高める方法もあったが、木の風合いや香りを生かせる手法にこだわり、現在の針で縫える「柔らかな木」を完成させた。
 2年前にバッグの試作品ができ上がると、社員一人ひとりが実際に持ち歩いて不都合な点がないか、1年かけてチェックし、改良を加えた。消費者の信頼を獲得するには客観的なデータも必要と考え、石川県工業試験場で水濡れ検査や引っ張り検査を依頼してお墨付きを得た。
 バッグの発売以降、横浜市の倒れたサクラの街路樹をバッグにしてほしいとの依頼が寄せられたほか、使われなくなった伊勢神宮のヒノキの柱を商品化できないか、「柔らかな木」を車の内装材として使えないかなど、これまでに取引のなかった企業等から問い合わせが入り、ビジネスチャンスの拡大につながっている。

消費者の声に即応 海外展開も視野

 これらのバッグは、フランス語で森を表す「bois(ボア)」と、英語で声を意味する「voice(ボイス)」にちなんで「BOIS(ボイス)」というブランド名で展開している。ブランド名に込められているのは「お客様の声を大切にしたい」との思いだ。
 谷口社長は「つい自分を基準にしてしまうが、お客様の声を聞かなければ売れるものづくりはできない」と話し、自ら百貨店や物産展に足を運ぶなど、生のニーズを聞くことを心がけている。例えば、当初販売した長財布には小銭を入れるファスナー付きポケットがなかったが、消費者の指摘を受けて改善したところ、売り上げがぐんと伸びたという。
マウスパッドやUSBメモリなどは、外国人向けのお土産としても好評 ファッション分野に続き、今年7 月には「柔らかな木」を使ったマウスパッドやUSB メモリも商品化し、今後はステーショナリー分野でのラインアップ拡充も視野に入れる。また、ブックカバーなどを自作してもらおうと、「ミシンで縫える木」としてシート状の素材だけでも販売している。
 「今売れるのは世の中にないもの。何を売ればよいか分からない中小企業が多い中、他社にない商品を作って売れるのはありがたいこと」と谷口社長。11月にはシンガポールで市場調査する予定で、「来年はヨーロッパの国際見本市にも出展したい」と海外での販路拡大にも照準を合わせている。

企業情報

企業名 株式会社 谷口
創業・設立 創業 昭和22年4月
事業内容 ケヤキ工芸品、碁笥、木製工芸品・家庭用品・家具の製造販売

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備考 情報誌「ISICO」vol.54より抜粋
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掲載号 vol.54