地球温暖化などを背景に、近年、「環境」をキーワードにしたビジネスが活発化し、注目を集めている。環境に配慮した製品や技術、サービスを開発することは、環境問題への貢献はもちろん、コストの削減やビジネスチャンスの拡大、企業のイメージアップ、他社との差別化につながるケースも多く、積極的に取り組む企業が増えてきた。そこで、今回の巻頭特集では、地球に優しいモノづくりを手がけている県内企業3社にスポットを当てた。
U字溝や歩車道境界ブロックなど、コンクリート二次製品を製造する中島建設が開発したエコ・プロダクツは、組み立て式のコンクリート製花壇「サブローさん」である。材料には、地元産の砂・砂利に加え、コンクリート構造物を解体したときに排出される再生骨材や北陸電力七尾大田火力発電所で発生するフライアッシュ(石炭灰)を混合。ユニークな商品名は、組み立て後のサイズが奥行き30cm、幅60cm、高さ30cmになることから名付けられた。これまでに、羽咋市内の商店街などで活用されている。
「サブローさん」は大小4 枚のコンクリートパネルから構成されており、ドライバー1 本で、誰でも簡単に組み立てることが可能。パネル1 枚の重さは約5~11kgで、組み立て後の総重量は約32kgになる。100~200kgもあるという既存のコンクリート製花壇に比べて、大幅な軽量化を実現。同社の中島俊幸社長は川北町の異業種交流グループ「もんじゅの会」に所属しており、同会メンバーの意見を取り入れ、さらに移動が便利になるよう、オプションで底板やキャスターを付けられるように改良した。
コンクリート製花壇は、木製、あるいはプラスチック製の花壇やプランターと違って、腐ったり、破損したりせず、丈夫で長持ちするのが長所だ。とはいえ、重くて持ち運びには不便だったことから、「そんなコンクリートのイメージを変えたい」(中島社長)と軽量化に向けて開発を進めた。その結果、コンクリートの材料に特殊な添加剤を加え、粘度を上げることで、強度を保ちつつ、厚みを従来品の約半分となる25mmに仕上げ、軽量化に成功した。 現在は、販売促進に向けて、花壇単体だけでなく、あらかじめトマトの苗を植えて家庭菜園セットとして販売したり、「サブローさん」にフェンスを取り付けた上でヘチマなどのツル植物をはわせグリーンカーテンとして販売できないか検討を進めている。
中島社長は「公共工事は減る一方だが、コンクリートの耐久性や安定性を生かしてアイデア商品を作っていきたい」と知恵を絞っている。
企業名 | 中島建設 株式会社 |
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創業・設立 | 設立 昭和35年11月 |
事業内容 | 土木建築工事、コンクリート二次製品の製造販売 |
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備考 | 情報誌「ISICO」vol.54より抜粋 |
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掲載号 | vol.54 |