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生産者からみた農商工連携の現状と課題

印刷用ページを表示する更新日:2012年1月16日更新

~ビジネスチャンスをつかむ新しい農業のカタチ~

安全・安心な食品、付加価値の高い食品へのニーズが高まる中、農商工連携による新事業創出や農業関連ビジネスへの新規参入が相次いでいる。そこで今回は、農業をビジネスとして成功させる秘訣を探るため、農業の常識を打ち破った取り組みで全国的に注目を集める和郷園(わごうえん)をはじめ、(有)三共農園、JA小松市、(株)スギヨが手がける県内の先進事例を紹介する。

成功のヒントは、買い手のニーズの中に
「和郷園の取り組み」

講師 木内 博一 氏
農事組合法人和郷園代表理事

受注型の契約栽培に特化

木内博一氏 和郷園は92戸の専業農家で形成する生産者集団です。和郷園を中核とした和郷グループにはほかにも8社の企業があり、農産物の生産や加工、直売などを一貫して手がけています。和郷園の生産する農作物はすべて契約栽培で、市場では一切流通していません。それは我々が農業を「食品を供給する製造業」だと考えたからです。製造業では注文をとらずに商品を作ることはありません。価格も採算の合う額で受注するでしょう。
 そこで我々は、20年前から製造業にならって採算割れしない農業を目指し、作ったものを市場に出荷する農業から「売ってから種をまく」契約栽培へとシフトしていったのです。

マーケットインの視点で

 契約栽培へシフトするにあたって、我々が重視したのが「マーケットイン」の考え方でした。これはつまり、お客様のニーズに合った商品をピンポイントで提供するという方法です。
 我々のお客様であるスーパーマーケットは安さだけでなく、少し高くてもおいしいものや安全・安心なものをそろえて、消費者にお店のこだわりを伝えたいと考えています。
 従って、和郷園では無農薬や減農薬、有機肥料栽培に取り組み、同時に、どの農家も均一の品質を確保できるよう、科学的裏付けのある生産体制を確立しました。例えば、農薬と肥料の使用履歴を記録しながら、土壌分析の結果と過去の収穫高を照合するデータベースを構築し、最適な土作りを実践しています。
 また、和郷園の出荷する野菜には一つ一つに保険が掛けてあり、万一、残留農薬や食品事故が発生した場合の補償にも備えています。
 納期までに契約した数量を出荷するのですが、農作物を契約分だけきっかり作ることはできません。そこで、あらかじめ多めに作付けし、余った分はカット工場や冷凍工場で加工しています。

循環型農業を実践

 加工場から出る野菜クズのリサイクルも進めています。グループの酪農家から出る牛糞と一緒にプラントで発酵させ、メタンガスと堆肥を作って、グループ内で利用しています。スーパーマーケットなどで出る野菜クズも引き取るなど、取引先にもこのリサイクルの輪に参加してもらっています。
 他にも東京都内にアンテナショップを出店したり、香港やタイにも進出したりしています。タイでは和郷園の仕組みを移植してバナナを現地生産し、メイド・イン・ジャパンならぬメイド・バイ・ジャパンとして現地でも販売しています。他のバナナより価格は高いのですが売れ行きは好調で、食文化に共通点の多いアジアにはこれから可能性があると感じています。
 農商工連携の目的は、それぞれの知恵と技術を持ち寄り、新しい付加価値を持った商品やサービスを生み出すことです。しかし、マーケットイン思想のない生産者と加工業者と販売業者が連携しても、新しい付加価値は生まれません。重要なのは買い手のニーズをしっかり見据えた取り組みなのです。


ラインアップを広げて販路拡大
「(有)三共農園の取り組み」

講師 岸 省吾 氏
有限会社 三共農園取締役

 三共農園では、果物狩りのできる「加賀フルーツランド」を運営し、そこで採れた果物をジャムやジュースとして販売しています。加工は福井県の会社に委託していましたが、製造が追いつかず、お客様の要望である少量多品種の品ぞろえにも対応できないため、県内の加工会社を探しました。そして、国外産から国産原料を使った商品製造への転換を探っていた桃宝食品との連携を決めました。
 連携を機に11種の新商品開発と、販路開拓にも乗り出しました。特にイチジクジャムやタマネギリンゴジュースなどは好評で、デパートや通販にも販路が広がりました。少量多品種製造のためコストが高く、生食用の果物を使うので生産量の調整も難しいのですが、売れ行きは好調です。

産学連携でトマトカレーを開発
「小松市農業協同組合の農商工連携の取り組み」

講師 東 浩一 氏
JA小松市営農部道の駅準備室室長

 小松は北陸一のトマト出荷量を誇ります。しかし、出荷が多い分、規格外品も多く、味が同じでも秀品は1箱1,223円、規格外品は1箱678円と価格に大きな差が出ます。そこで考えたのが規格外品の有効活用でした。その一環として試作したトマトカレーが産地をPRする即売会で高評価だったことから、レトルトトマトカレーの開発に取り組んだのです。
 商品開発では、成分分析と食品評価を北陸学院大学短期大学部食物栄養学科に、加工を桃宝食品に依頼しました。現在、JAの直売所やAコープ、道の駅で販売しています。課題は収穫期の違うトマトでも同じ味に統一することですが、商品の評判は上々で、現在は新たに趣向の異なる3種のトマトカレーを開発しています。

コストアップでも売り上げは増加
「農業参入から3年 ~動機から変遷そして課題について~」

講師 半澤 咲子 氏
株式会社スギヨ 農業事業担当農場長

 スギヨは魚肉練り製品や総菜の製造販売を手掛ける会社です。農業参入は、一次産業から三次産業までを統合した新しい企業形態を模索するというビジネス戦略の一環です。同時に、自分たちの責任で、安全安心な野菜を安定的に確保したいという思いがあって始めました。現在、能登島とその周辺に農場を持ち、キャベツやタマネギなどを生産しています。収穫した野菜の90%がカット工場に回り、そのうち90%を自社の総菜に活用しています。残りは外販です。
 農場を持ったことで、外部から野菜を購入するよりも原価は高くなりました。自社野菜オンリーの総菜に、そのことを明記したシールを貼って販売している時期は売り上げが大幅に伸びています。今後は、野菜の安定生産と保存技術が課題です。

企業情報

企業名 公益財団法人 石川県産業創出支援機構
創業・設立 設立 1999年4月1日
事業内容 新産業創出のための総合的支援、産学・産業間のコーディネート機関

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備考 情報誌「ISICO」vol.52より抜粋
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掲載号 vol.52

 


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