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経済産業省が実施する地域産業資源活用事業に認定された企業にスポットを当て、農林水産物や伝統工芸品などを活用した、商品開発や販路開拓を紹介する。
左官工事のイスルギでは、左官の技術と材料を生かしたデザイン雑貨を開発、「地域産業資源活用事業」の認定を受けて商品ラインアップの拡充と販路拡大に取り組んでいる。
原材料として使っているのは、同社が壁材として用いている能登産を中心とした珪藻土だ。シリコン製の型に材料を流し込み、自然乾燥で成型する。
吸水性や保湿性、消臭性、耐火性に優れている珪藻土の特性を生かし、これまでにコースターやソープディッシュ、スポンジトレー、キャンドルホルダーなど7品目を商品化した。例えば、ソープディッシュならば余分な水分を吸い取って乾燥を促進するので、石けんをいつも清潔に保つことができる。
もちろん、左官の技術も生かされている。「洗い出し」と呼ばれる技法もその一つで、珪藻土に小石を混ぜた後、ブラシでこすって小石を美しい模様のように露出させる。表面を平らで滑らかにするためにはコテが用いられている。
商品はそれぞれ白、黒、ピンク、緑の4色を展開。「soil(ソイル)」のブランド名で、現在、全国約20店舗の雑貨店で販売している。
イスルギがインテリア雑貨の開発に乗り出したきっかけは、デザイン雑貨を企画・製造するアッシュコンセプト(有)(東京都台東区)との出会いにある。
イスルギはビルの左官工事を中心に手がけるほか、金沢城の復元工事など歴史的建造物の修復・再建プロジェクトに携わるなど、確かな技術力を誇る。ものづくり企業とデザイナーのマッチング事業を通じて左官技術に興味を持ったアッシュコンセプトと、左官工事の減少を受けて新規事業を模索していたイスルギの思惑が合致し、商品の共同開発がスタート。商品デザインはアッシュコンセプトが担当し、イスルギが製造した。
昨年6月に展示会でお披露目して以降、規格品の販売が順調に伸びているほか、オーダーメードのニーズも取り込み、今年1月には加賀屋(七尾市)からオリジナルコースターを受注。「機能性とデザイン性が高く評価されている」と石動博一専務は確かな手応えを感じている。
現在はラインアップを拡充しようと、キッチンとバスルームで使われる商品に絞って試作を重ねており、今後、百貨店やインテリアショップ、ホテルなどへと販路拡大を図る計画だ。
企業名 | 株式会社 イスルギ |
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創業・設立 | 創業 大正6年1月 |
事業内容 | 和洋左官工事、吹付工事、合成樹脂床工事、防水工事、タイル工事、メンテナンス・リフォーム工事 |
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備考 | 情報誌「ISICO」vol.51より抜粋 |
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掲載号 | vol.51 |