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新現役の指導を仰ぎ、作業手順書の整備に着手

印刷ページ表示 更新日:2012年1月16日更新

ピンチをチャンスに!! 
差がつく不況の乗り切り方

景気が底を打ち、回復の兆しも見えてきたとはいえ、国内市場の縮小やデフレなどの不安要素もあり、先行きは予断をゆるさない。
リーマン・ショック以降、苦戦を強いられている中小企業にとっては、この時期をいかに有意義に過ごすかが、反転攻勢のカギである。羽二重豆腐も、好機をたぐり寄せようと、人材育成や業務改善に取り組んでいる。

※「新現役」:企業等を退職し、豊富な知識・経験と人的ネットワークを有する方々

操業を停止し、社員研修を実施

藤原社長 大正12年に創業した羽二重豆腐は凍り豆腐(高野豆腐)の製造からスタートし、今では、がんもどきや油揚げ、豆腐ハンバーグ、卯の花コロッケなど、大豆の加工技術をベースに、多彩な商品ラインアップを取りそろえている。商品の95%は業務用として、弁当製造業者やホテル・旅館などに納められており、販売網は北海道から九州まで全国に広がっている。
 そんな同社も、昨年6月以降、不採算商品の製造停止に加え、原材料価格の高騰による値上げや世界同時不況の影響により、例年に比べ生産量が10~20%あまり下落していたことから、月に数日、操業を停止。モチベーションアップや生産管理をテーマとした研修を実施していた。

作業手順書を作り品質や作業効率向上へ

グループ討議の様子 羽二重豆腐は例年、9月から12月にかけて繁忙期を迎えるが、昨年は師走が近づいても思ったように業績が回復しなかった。藤原英二社長は1月以降も研修の継続を決めたものの、どのような研修テーマを選定すればよいか頭を悩ませた。
 そんなとき、藤原社長の頭に浮かんだのが長年の懸案事項となっていた作業手順書の整備だった。
 同社の食品づくりは機械化されている部分もあるが、手仕事が多く、職人的な経験や勘に頼っている作業がたくさんある。そのため作業手順書は存在せず、仕事は現場において体で覚えるのが当たり前とされていた。
 もちろん、職人の世界がそうであるように、手順書がなくとも技術は伝承され、商品も完成する。とはいえ、「それでは現状にとどまることはできても、改善にはつながらない」と藤原社長は危機感を募らせていた。現に「初心者は作業をマスターするのが大変」「手順がばらばらで品質が安定しない」「生産ロス・ミスが多発する」といった課題を抱えていた。
 藤原社長は、手順書を作成し、全員がその手順を理解、順守すれば、品質や作業効率が向上すると考えたのだ。

豆腐製造や生産管理のベテランが助言

 そうは言っても、自分たちだけで現状を整理し、作業手順書としてまとめるのは難しい。ノウハウを持った専門家の支援が必要だと考えた藤原社長は、研修の実施にあたって協力を仰いできたISICOの藤井良紀コーディネータのアドバイスを受け、「新現役人材」を活用することにした。
 この事業は、企業などを退職したシニア人材が持つ豊富な実務経験や専門知識、人的ネットワークを中小企業の経営指導に役立ててもらうものである。
 羽二重豆腐の生産部は、加工原料となる豆腐を作る1課、各種がんもどきを作る2課、総菜などを作る3課の3つに分かれており、それぞれ20人あまりが所属する。そこで、それぞれの課に新現役を一人ずつ合計3人を配置し、各課で手順書をまとめることにした。新現役は、藤井コーディネータが、豆腐製造や生産管理に長けた人物をISICOに登録されている約100人の新現役からマッチングした。

社員が議論を深め、作業標準を確立

3回目のグループ討議の後に開かれた中間発表3回目のグループ討議の後に開かれた中間発表 手順書の作成は、今年1月から3月にかけて操業を停止する6日間を利用して取り組んだ。金沢市内の研修施設に関係者が一堂に会し、朝から夕方まで丸一日をかけて、各課に分かれてグループ討議を重ねた。各課では、現在の手順を確認した上で、新現役から指導を受けながら問題点の明確化や改善案の検討を行い、作業標準を確立していった。藤原社長はこうしたプロセスについて、「徹底的に討議しながら進めているので、なぜこうした手順が必要なのか、皆が納得しながら作ることができる」と解説する。
 手順書は、今年4月から運用をスタートさせる計画だ。いつでも全員が手順書を確認できるようにしておき、決めた手順は全員が守るよう徹底していくという。
 藤原社長は手順書の整備によって「生産ロスやミスが確実に減るはず」と期待を寄せると同時に、「従来通りのやり方ではいずれ負ける。そうならないためには、競合に勝ち続けられるよう自らが変わり続けるしかない」と、さらなる改善活動に向け、決意をにじませている。

メッセージ   

ISICOコーディネータ
藤井 良紀
単なる研修にとどまることなく、工場の改善活動や社員の意識改革にも取り組みたいとのニーズがあったので、それならば「豊富な専門知識を有する新現役による実務指導」が最適と考えました。3人の新現役を並行して活用するのは全国的にもユニークで、3人にはグループ討議後には必ず集まってもらい、コミュニケーションをとるようにしました。討議を重ねるにつれて従業員の顔つきもいい意味で変わってきました。今回の成果が、必ず商品づくりに反映されると確信しています。

企業情報

企業名 羽二重豆腐 株式会社
創業・設立 創業 大正12年6月
事業内容 凍り豆腐、冷凍食品、油揚げ、がんもどき、総菜の製造、販売

企業情報詳細の表示

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備考 情報誌「ISICO」vol.51より抜粋
添付ファイル
掲載号 vol.51


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