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「景気がよければ何もしなくても仕事が来る。不況のときこそ何か手を打たねば」。そう話す同社の東出隆志社長は今、動画を活用した販路拡大にチャレンジしている。
大阪の映像会社と協力して制作した動画は約1分間で、自動溶接ロボットシステムなど同社の強みの一端を紹介している。今年3月から動画投稿サイト「ユーチューブ」で公開したほか、4月以降はリニューアルする自社ホームページからも見られるようにする。
近年では、外注先を探す際もインターネットの利用が主流になっており、東出社長は「新規受注の開拓と言っても、営業マンが客先へ足を運ぶのは限界がある。ネットならば、365日24時間、世界中のどこからでも見てもらえる。先日イタリアのメーカーから問い合わせがあったのは正直びっくりした」とそのPR効果に期待を寄せる。もちろん1分間の動画で東和のすべてが理解できるわけではないが、これを呼び水に、実際、工場に足を運んでもらうのが狙いだ。
販路開拓だけでなく、人材確保の面でも効果を期待している。もはや就職活動においてネットの利用は不可欠であり、動画で先端的な設備や仕事の様子を見てもらうことで3K職場というイメージを払拭し、優秀な人材の採用につなげていきたい考えだ。
継続的に関心を持ってもらえるよう、今後は別バージョンで動画を制作、公開していくことも視野に入れている。
動画でも一部紹介されているが、同社が得意とするのは、厚さ500ミリもの鋼板を溶断・溶接して作るような重厚長大な一品ものの生産である。
とりわけ、2次元の設計図をもとに3次元CAD/CAMを使ってコンピュータ上で製品を立体化し、製品を構成する部品の展開図まで自動で作成するプロセスは独自の仕組みだ。あらかじめ顧客に3次元モデルで仕上がりを確認してもらえるほか、作業前に複雑な図面を検討する時間が半分以下になる、あるいは寸法の誤差を加工前に確認できるなどメリットは多く、納期の短縮、品質の向上、コストの低減につながっている。
もちろん、この3次元データは加工にも活用されている。例えば、自動溶接ロボットシステムならば、事前にパソコンでシミュレーションした上で加工プログラムを作っておくので、現場での作業はスイッチを押すだけで済んでしまう。
東出社長は「これまで培ってきた生産技術を生かして、さまざまな需要を取り込みたい」と意気込んでおり、その切り込み役として動画を駆使する考えだ。
企業名 | 東和 株式会社 |
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創業・設立 | 創業 1967年4月 |
事業内容 | 大型・中型プレス機、産業機械、発電設備、建設機械のバケットの製造 |
関連URL | 関連URLを開く |
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備考 | 情報誌「ISICO」vol.51より抜粋 |
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掲載号 | vol.51 |