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経済産業省が実施する地域産業資源活用事業に認定された企業にスポットを当て、農林水産物や伝統工芸品などを活用した、商品開発や販路開拓を紹介する。
万喜ではデザイン性と機能性に優れたブラジャーの「編みストラップ(肩ひも)」を開発した。編み物の技術を使っており、量産するための生産体制を日本で初めて確立。「地域産業資源活用事業」の認定を受けて、今後、さらなる商品開発と販路拡大に取り組んでいく。
ストラップは現在、織物で作られたものが主流である。ただし、織物の場合、複雑な形や模様を表現するには複数のパーツを縫製する必要があるため、シンプルなデザインのものが多い。
一方、同社の編みストラップは、ピコットと呼ばれる小さなループ状の飾りをはじめ、複雑で繊細な模様、レースのような透かしなどを一体的に編めるのが特徴だ。また、肩にかかる部分からカップにかけてストラップを2本に分岐させることも可能とした。デザイン面でバリエーションが増えるだけでなく、それぞれのストラップの伸縮度を変えれば、肩から落ちにくくしたり、胸を寄せて上げたりと、女性のニーズに応える機能性を実現できる。
従来、編み物は糸のほつれが欠点となり、ストラップには使いづらいとされてきたが、技術に改良を加えた結果、同社の製品はほつれることがなく、繰り返しの洗濯にも耐えられる十分な強度を確保している。
編みストラップは、すでに万喜の主要取引先である大手下着メーカーが販売する高級ブラジャー用として採用実績があり、今後もこのメーカーに部材として供給する。同時に、小泉万喜男社長は「毎年多くの試作品を開発するが、製品の完成度にかかわらず、メーカーのコンセプトに合致しなければお蔵入りになるケースも多い」と話し、採用されなかったデザインについては、他の国内メーカーに提案するほか、取替用ストラップとして単品での販売も視野に入れている。
また、販路拡大については、海外市場も大きなターゲットと考えている。海外のバイヤーからも「過去に見たことがなく、インパクトがある」と高い評価を受けており、すでに来年9月にパリで開かれる素材展「パリ国際ランジェリー展」への出展も決まっている。
同社のラインアップは現在、日本特有の“かわいい”と表現されるデザインがほとんど。これからは海外での販売を視野に入れ、ヨーロッパ向けには大人っぽく、セクシーなストラップ、アメリカ向けにはカジュアルでポップなストラップといった具合に、販路に応じたデザイン開発に力を入れていく。
企業名 | 株式会社 万喜 |
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創業・設立 | 設立 昭和40年6月 |
事業内容 | 細幅織物の製造 |
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備考 | 情報誌「ISICO」vol.49より抜粋 |
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掲載号 | vol.49 |