ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 トップページ > 情報誌ISICO > 【巻頭特集】電気自動車の開発・普及に向け今こそ新規参入のチャンス!

本文

【巻頭特集】電気自動車の開発・普及に向け今こそ新規参入のチャンス!

印刷ページ表示 更新日:2012年1月16日更新

技術提案型展示商談会を開催
2010.1.28/29

技術提案型展示商談会石川県とISICOは1月28、29日、神奈川県厚木市の日産自動車テクニカルセンターで「技術提案型展示商談会」を開催した。トヨタ自動車、三菱重工業に続く県外大手メーカーとの商談会で、機械や繊維、ITなど県内41企業が67テーマについて技術や工法、製品を提案。企業のほか、今回は新たに金沢大学と県工業試験場も参加した。会場には2日間で日産自動車の技術者ら1,288人が訪れ、試作や見積もりの依頼など、商談件数は2,246件に上った。今回の特集では、日産自動車執行役員の平井敏文氏に商談会の印象を聞くとともに、出展した企業・大学の提案内容を一部紹介する。

技術を知ってもらうために行動を インフラ整備にも商機あり

日産自動車(株) 執行役員 平井敏文氏 -今回の商談会にどんなことを期待するか。また、出展企業の印象は。
 こうした商談会は新しい技術を知るいい機会と考えている。情報社会とはいえ、技術を理解するにはインターネットでは不十分だ。技術スタッフは出歩くことも難しいので、こちらに来てもらって、実物を見たり、開発者の生の声が聞けるのはありがたい。
 私は昭和58年から60年にかけて石川県商工労働部に勤めた経験があり、当時から頑張っている機械、繊維企業も時代に合わせて新たな技術分野にチャレンジしている姿勢が印象深かった。ITやバイオ分野でユニークな提案があった点にも石川県の産業の多様性を感じた。
 今回のように自治体が主催する商談会には4年前から取り組んでおり、発注に結びついたケースも多い。商談会に出展していない企業でも、具体的な相談があれば、まず、ISICO緊急販路開拓推進室(TEL 076-267-1140)へ問い合わせていただきたい。

-現在力を入れている電気自動車の開発において今後の技術的な課題は。

 エコカー減税に後押しされ、復調の兆しはあるとはいえ、新車販売にかつての力強さはまだない。若者の車離れも深刻だが、魅力ある車を作ればいずれ必ず購入してくれると考えている。その起爆剤となるのが、今年秋から年末までに日米欧で同時発売を予定する電気自動車「リーフ」だ。二酸化炭素はもちろん、窒素酸化物も硫黄酸化物も出さないゼロ・エミッション車で、予約も順調に伸びている。
 市販に向け、技術的な問題はすべてクリアしているが、今後はさらに性能を上げたり、コストを下げるための開発が必要になる。エンジンがなくなるのでピストンリングなどの部品は必要ないが、モーターやインバーター、コンバーターなど、電気回りの部品で開発の余地は大きい。
 また、電気自動車を普及させるにはインフラ整備も大きな課題だ。各家庭での充電を基本に考えているが、遠出をする際などは充電スタンドが必要となる。私たちはインフラ整備の専門家ではなくノウハウが少ないので、この分野でも地方の企業のビジネスチャンスは増えてくるははずだ。

-電気自動車関連産業への参入を考える地方の企業に対して求めることは。

 地方の企業はせっかくいい製品を作っても、誰かが見つけてくれるだろうと受注を待っている企業が多い。かつてはそれで仕事が取れたかもしれないが、今は積極的に働きかけ、アピールすることが大事であり、すぐにでも行動を起こして技術を売り込んでほしい。
 また、技術というのは、開発者が当初想定していた用途とは別の目的で活用される場合もよくある。特に電気自動車においては、これまでのガソリン車とは全く違った発想での技術開発が求められてくると思う。そういった意味では、これまでは自動車産業と関連のなかった企業も参入の大きなチャンス到来と言えるだろう。

マイクロ波で送電 走行中でも充電可能に

ISICO理事長の谷本正憲知事もトップセールスに訪れた。 プリント基板の設計・製造を手がけ、能美市内に北陸事業所を設ける関西電子工業(株)が紹介したのは、電気自動車の充電用にマイクロ波で電力を伝送するための研究開発である。同社では京都大学より受託し、マイクロ波を電流に変換するためのレクテナ基板を製造。この基板を車に組み込めば、マイクロ波送電器から非接触で充電が可能となる。
 現在の電気自動車のようにコンセントにケーブルをつなぐ必要がなくなるので、蓄電スタンドに停車するだけで充電できるようになるほか、道路に蓄電・送電器を敷設できれば、走行中の充電も可能になる。現在、京都大学と日産自動車総合研究所が進めている共同開発に同社も関係しており、5~10年後には実用化される見込みだ。同社ではこれを足がかりに、他のプリント基板についても受注につなげたいと期待を寄せている。

高価な白金に代わる燃料電池の電極触媒

 金沢大学では理工研究域物質化学系の山口孝浩准教授が、白金に代わる燃料電池用の電極触媒について提案した。燃料電池とは水素と酸素を反応させて電気を発生させる発電装置のこと。現在は酸素還元用の電極触媒として白金が用いられるケースが多いが、白金には「希少で価格が高い」「ロシアや南アフリカなど産地が偏在している」といった難点がある。
 同大学が提案した触媒は金属ポルフィリンを熱処理したものだ。製造コストは高いが、レアメタルを含まず材料そのものは安いため、大量生産できればコストも下がる見通しだ。実用化に向けての研究はまだこれからだが、燃料電池車の開発を見すえ、日産自動車等の燃料電池関係会社と共同で研究できればと意欲を燃やしている。

必要に応じて水素ガスを発生

 澁谷工業(株)では、独自に開発した水素ガス発生装置をアピールした。この装置は水を電気分解し、水素ガスを発生させる。水素ガスを充填したボンベを貯蔵しておかなくても、必要に応じて発生させることが可能だ。
 ボトリング機械を主力とする澁谷工業と水素ガスと聞けば一見、接点がないように見える。しかし、同社ではボトリングの際、キャップに印字する方法としてレーザーを取り入れ、その後、レーザーを使った切断加工システム、さらには環境に優しい熱源として水素ガスを使った切断加工システムへと技術を応用展開してきた。今回紹介した装置はもともとこのシステムに水素ガスを供給するために開発されたものであり、燃料電池の開発などで役立つのではと考えている。

企業情報

企業名 公益財団法人 石川県産業創出支援機構
創業・設立 設立 1999年4月1日
事業内容 新産業創出のための総合的支援、産学・産業間のコーディネート機関

企業情報詳細の表示

関連情報

関連URL 関連URLを開く
備考 情報誌「ISICO」vol.50より抜粋
添付ファイル
掲載号 vol.50


月間アクセスランキングへのリンク

月間アクセスランキング
DGnet 企業情報/バーチャル工業団地/情報誌ISICO


ViVOサイトへのリンク

活性化ファンド・チャレンジ支援ファンド商品開発ストーリー集サイトへのリンク

じわもんセレクトサイトへのリンク

DGnetサイトへのリンク