本文
アイ・ツーでは約5年前から、韓国・大邱(テグ)市にあるITベンチャー企業Cnsoft社と業務提携を結び、数々の製品を共同開発してきた。
例えば、平成19年に提供を開始した「リモートPCミスターオン」もその一つである。これは、インターネットの接続環境がある場所ならば、遠隔地にあるパソコンをいつでもどこでも自由自在に操作できるというサービス。出張先から社内にあるパソコンのデータを確認する際などに最適だ。国内で個人ユーザー2万人、法人ユーザー千社以上が利用しているほか、韓国でも7万人以上に販売実績を持つ。
開発にあたって、アイ・ツーとCnsoft社は毎日のようにインターネットを活用した電話サービスであるスカイプやIP電話、ネット上の掲示板を使ってアイデアを出し合ったり、意見交換したりする。出張もしばしばで、両社の全社員が韓国、あるいは日本へ出張経験を持つ。長いときは2週間にわたって現地に入り、机を並べて開発を進めることもある。コミュニケーションは通訳を介さず、お互いが韓国語や日本語を勉強するほか、時に英語やボディランゲージを交えながら、電子辞書を片手に意思疎通を図る。
松崎秀規社長は「国は違っても仕事の基本は人と人の信頼関係を築くこと」と話し、一緒にお酒を飲んだり、遊びに行ったりと仕事以外のおつきあいも大事にしているという。
同社が韓国企業との連携に乗り出したきっかけは、平成17年にISICOの橋渡しで大邱市のITベンチャーに事業をプレゼンする機会を得たことだった。大邱市は約250万人の人口を抱える韓国第3の都市。ISICOは現地でIT ベンチャーを支援する大邱デジタル産業振興院(DIP)と交流協定を結んでいる。
Cnsoft社はISICOが「eメッセ金沢」に招へいした企業の一つで、eラーニングシステムの構築に実績を持つ。「韓国のIT ベンチャーのスキルは高いし、日本に比べて開発コストも安い。協力して品質を向上させることができれば日韓両国で競争力を発揮できる」と考え業務提携に踏み切った。提携にあたっては、韓国をはじめとして世界各地に販売提携先や小会社を持つカタニ産業の蚊谷八郎社長からも海外進出には、「同業者から異端と見られたり、風当たりが強くなることをおそれず、また、これまでの固定観念にとらわれずに果敢に実行することが大切」とのアドバイスを得た。
アイ・ツーは当時、石川県との間に航空路線が開通していなかった静岡県内の企業とも取引があったため、小松空港からアクセスのよい韓国に地理的なハンデは感じなかったという。
むしろ、松崎社長は韓国企業との連携を足がかりに、「Go!アジア2010」のかけ声に力を込める。「日本の平均年齢は45歳、日本を除くアジアの平均年齢は25歳と言われています。これから購買力が上がってくるのは間違いなくアジア。無理に日本で売るよりも、アジアで勝負できる企業にしたい」。松崎社長はそう話し、技術開発や販売面でパートナーとなる企業を求めて、上海や香港、ベトナム、台湾の展示会にも積極的に出展。アジアにおける連携網の確立に向け、着々と布石を打っている。
企業名 | 株式会社 アイ・ツー |
---|---|
創業・設立 | 設立 平成13年10月 |
事業内容 | コンピュータネットワークに関するコンサルティング、コンピュータネットワークの管理・運用、コンピュータプログラムの企画・開発、ネットワークコンテンツの編集・デザイン |
関連URL | 関連URLを開く |
---|---|
備考 | 情報誌「ISICO」vol.50より抜粋 |
添付ファイル | |
掲載号 | vol.50 |