経済産業省が実施する地域産業資源活用事業に認定された企業にスポットを当て、農林水産物や伝統工芸品などを活用した、商品開発や販路開拓を紹介する。
アトリエMITANIでは「地域産業資源活用事業」の認定を受け、漆塗りや蒔絵、沈金など漆芸技術を使って、あかりの要素を取り入れたオブジェやインテリア素材の開発を本格化させている。
これらは、透明素材と箔や漆芸の多様な技術を駆使した商品である。手技ならではの深みのある意匠は、毎年パリで開催されるインテリア関連製品の国際見本市「メゾン&オブジェ」で、「新たな装飾表現の誕生だ」とヨーロッパのバイヤーから好評を博し、これをきっかけに商品化を進めてきた。今冬から、日本各地の地域資源を活用した商品を取り扱う中小企業基盤整備機構のアンテナショップ「Rin」(東京・表参道)などで試験販売する予定だ。
インテリア素材としては、 各種樹脂板に漆芸技術によって模様を入れた「装飾パネル」を商品化。業者向けの素材カタログなどを通じて販売する。
同工房と協力する職人のネットワークでは、こうした漆芸技術を漆器以外の新たな分野に応用するプロジェクトを「JAPAN DECO」と名付け、今後、商品ラインアップを拡充していく。
アトリエMITANIは、輪島塗の蒔絵師として37年のキャリアを持つ三谷昭氏の工房である。十数年前から漆芸を装飾技術の一つと位置づけ、「漆器の枠を離れて、ほかの素材や用途に技術を活用してもよいのでは」と考え、地元の職人と連携して、他分野での応用を模索してきた。
伝統技術の新たな用途や市場をリサーチする一環として、「メゾン&オブジェ」に6年連続で出展し、漆芸技術をヨーロッパのバイヤーに紹介。日本独自の装飾技術が高く評価され、それらの商品化に向けた技術開発や販路開拓に取り組む。また、日本とドイツの製造メーカーの協力による蒔絵メトロノームの開発などの成果を上げている。
「JAPAN DECO」では、新商品を開発すると同時に、職人のネットワークを広げて生産体制を構築。また、国内はもちろん、手仕事の技術を評価する風土があるヨーロッパの展示会等に出展し、販路の確立を急ぐ。
「職人の仕事とは、単に技術を伝承することではなく、果敢に挑戦し、技術を高めることだ」と話す三谷氏。もの静かな口調の裏側で、漆芸技術の新たな可能性を見いだそうと、闘志を燃やしている。
企業名 | アトリエMITANI |
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創業・設立 | 創業 昭和50年8月 |
事業内容 | 蒔絵の制作、漆芸技術を生かした各種商品の企画・製造 |
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備考 | 情報誌「ISICO」vol.49より抜粋 |
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掲載号 | vol.49 |