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文部科学省の都市エリア産学官連携促進事業に「石川県央・北部エリア」の「地域伝統発酵食品に学ぶ先進的発酵システム構築と新規高機能食品開発」が採択され、そのキックオフ・フォーラムが7月3日、ホテル日航金沢で開かれた。フォーラムでは関係者ら150人が参加し、事業の概要や目標について確認すると同時に、プロジェクトの成功を誓い合った。
この事業は、「いしり」や「かぶらずし」「フグのぬか漬け」など石川県の伝統的な発酵食品の発酵メカニズムを科学的に解明し、例えば、発酵臭がなく、アレルギー疾患に予防効果のある米ヨーグルトといった発酵食品の健康維持・増進効果を活用した新しい機能性食品の開発を目指すプロジェクトである。
ISICO を調整役に、食品メーカー10社((株)福光屋・(株)スギヨ・大野醤油醸造協業組合・(株)四十萬谷本舗・小松電子(株)・佃食品(株)・(株)車多酒造・(株)バイオセラピー開発研究センター・(株)CDR・(有)バイオデバイステクノロジー)、金沢大学、石川県立大学、石川県工業試験場が3つのグループを形成し、研究を進める。事業は平成24年度までの3カ年計画で、文部科学省から年間1億円、総額3億円の研究費が交付され、20件の試作品開発と15件の特許取得を目標に掲げている。
フォーラムでは、谷本正憲知事が「消費者は魅力あふれる、安全・安心な食品を求めている。石川県の強みである発酵に焦点を当てた研究開発を通して、他地域との差別化を図り、食品産業の振興を図りたい」と意欲を示した。
また、石川県立大学の松野隆一学長は「事業を通して、研究開発から商品化に至るまでの総合力を身に付けた人材育成も重視してほしい」と期待を込め、文部科学省の中原徹科学技術・学術政策局次長は「地域の個性を生かしたユニークなコンセプトであり、地域の伝統産業の新たな展開に期待している」と祝辞を述べた。
当日は、ISICOの川畠平一科学技術コーディネータが事業の全体像を説明した。続いて、3つの研究開発グループを代表して、石川県立大学の熊谷英彦教授、金沢大学大学院の太田富久教授、石川県立大学の野口明徳教授が、それぞれ「発酵菌叢の遺伝子解析に基づく新規発酵技術・食品の開発」「発酵食品に由来する消化管免疫機能性成分の探索・評価および評価装置の開発」「超音波および通電処理を用いた新規発酵技術・食品の開発」について解説。参画企業を代表して、佃食品(株)の佃一成代表取締役が事業にかける思いを述べた。
このほか、協和発酵キリン(株)前技術顧問の手柴貞夫氏が「バイオテクノロジーの源流~発酵~」と題して記念講演し、発酵技術の幅広い用途について紹介した。
企業名 | 公益財団法人 石川県産業創出支援機構 |
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創業・設立 | 設立 1999年4月1日 |
事業内容 | 新産業創出のための総合的支援、産学・産業間のコーディネート機関 |
関連URL | 関連URLを開く |
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備考 | 情報誌「ISICO」vol.47より転載 |
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掲載号 | vol.47 |