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【巻頭特集】新規参入を目指して、県内企業が三菱重工に技術提案

印刷ページ表示 更新日:2012年1月16日更新

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石川県とISICOは7月13日、神奈川県相模原市の三菱重工業(株)汎用機・特車事業本部で同本部との「技術提案型展示商談会」を開催した。商談会には、県内企業21社が参加し、来場者にコスト削減や生産効率の向上につながる独自技術などを売り込んだ。今回の特集では、商談会の概要と参加企業の中から3社の提案内容について紹介する。

商談会場の様子 写真

466件の商談が実現 谷本知事もトップセールス

 「技術提案型展示商談会」は、県内企業の販路拡大を支援しようと、石川県とISICOが企画した。商談相手となった汎用機・特車事業本部は、三菱重工業の中でも、船舶や建設機械のエンジン、発電機、産業用車両、戦車など特殊車両の開発、製造を担う部門である。商談会の実現に向けては、ISICOが今年度に設置した「緊急販路開拓推進室」が中心となって交渉を重ねてきたほか、参加企業の提案方法についても助言してきた。ちなみに、県外大手メーカーとの商談会は、昨年8月のトヨタ自動車グループに続いて2回目の開催である。
 当日は、部品、素材、設備、金型、治工具、表面処理といった分野の県内企業21社が一堂に会し、パネルや部品を展示して技術を紹介した。このほか、別室では各社10分の持ち時間でプレゼンテーションを行い、自社の技術の独自性、既存技術と比較したコストや生産効率の優位性をアピールした。
 会場には、汎用機・特車事業本部をはじめ、同本部に部品を納める協力企業の技術者、資材担当者ら285人が訪れ、「参考になる技術があった。ぜひ使ってみたい」「プレゼンテーションと一体となった商談会は珍しく、分かりやすかった」といった声が聞かれた。商談件数は466件に上り、この日だけで具体的な試作依頼が2件、見積もり依頼が12件、企業訪問の約束が11件となった。
トップセールスを行った谷本知事 写真 また、谷本正憲知事も現地に足を運び、菱川明本部長にトップセールスを行った。菱川本部長は商談を具体化させるため、「設計の技術者を中心に参加させた」と述べ、谷本知事は「県内には優れた技術を持つ中小企業が集積しており、今回の商談を新たな受注機会につなげたい」と意欲を示した。
 ここからは、商談会に参加した3社の提案内容を紹介していこう。

独自の複合材料に高い評価

 商談会では品質アップに貢献する独自性の高い技術に注目が集まった。(株)明石合銅(白山市)が提案した「AG バイメタル」と呼ばれる鉄と銅合金を接合した高性能複合材料もその一つだ。これは、強度に優れている鉄をベースに、耐摩耗性や耐焼付性に優れた銅合金を溶着させた素材で、高圧・高速で動く油圧装置の部品などに使用される。
 また、同社では、鉄と銅合金の複合材料を使った軸受用の焼結含油ブッシュも提案した。銅合金に油をしみ込ませることで、給脂間隔をこれまでの50時間から500時間へと延長できる。レンタル需要の多い建設機械など、できるだけメンテナンスの間隔を延ばしたい製品に最適だ。
 いずれも他社にまねのできない技術とあって、高く評価された。

工数を減らす技術で確かな手応え

 作業の省力化につながる技術にも高い関心が寄せられた。例えば、高品質のボルトやナットの製造を手がける(株)共和工業所(小松市)では、あらかじめワッシャ(座金)を組み込んだボルトを開発し、組み立て工数の低減を提案。受注に向け、確かな手応えを感じている。
 ボルトによって締め付けられる面を保護し、締結機能に必要なワッシャは通常、ボルトとは別に発注、管理され、組み付け前に機械または手作業によってボルトにワッシャをセットする必要がある。同社の製品はボルトの製造工程でワッシャを組み込んだ後、ネジ加工を施すことでワッシャが外れず、作業効率がアップする上、ワッシャの発注や在庫管理も不要となる。
 すでに、建設機械メーカーなどで導入実績があり、「改善につながる提案ならば、不況下でも採用の可能性はある」と販路開拓に期待を寄せている。

溶接のロボット化で40%のコスト削減

 大型プレス機などを製造する東和(株)(能美市)は、コストの低減につながる自動ロボット溶接システムを提案した。一品ものや多品種少量生産の場合、溶接は自動化が難しく、人の手による作業が多くなってしまうことから、コストの低減が難しい工程と言われる。これをロボット化したのが東和のシステムだ。
 同社では3次元CAD データを使って、パソコン上でのオフラインティーチングを行い、現場ティーチングをなくすことによって大幅な自動化率の向上を実現した。また、タンデム溶接ロボット(2本トーチ)によって時間当たりの溶着量もこれまでの4倍に向上した。
 自動化によって人の手による作業が減り、約40%のコスト削減が見込める。また、品質の安定、リードタイムの短縮といったメリットもある。1.8m×3.4mの専用架台に収まる部品であれば対応可能であり、大型部品の受注に向けて、技術力をPRした。

企業情報

企業名 公益財団法人 石川県産業創出支援機構
創業・設立 設立 1999年4月1日
事業内容 新産業創出のための総合的支援、産学・産業間のコーディネート機関

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備考 情報誌「ISICO」vol.47より転載
添付ファイル
掲載号 vol.47


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