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経済産業省が実施する地域産業資源活用事業に認定された企業の取り組みが、本格化している。
ここでは、県内中小企業の中から認定を受けた企業にスポットを当て、農林水産物や伝統工芸品、観光資源など、地域資源を活用した商品開発、販路開拓について紹介する。
吉田司はベルトなどに使われているゴム入り細幅織物の技術を発展させ、スポーツ用などのサポーターを製造している。OEM先である大手スポーツメーカーを通してオリンピック選手をはじめ、一流アスリートが着用するなど、その品質は折り紙付きだ。そんな同社が「地域産業資源活用事業」として認定を受けたのが、「メディカルマーケットに向けた機能性サポーターの製造と販路拡大」である。
医療用サポーターの製造にあたって、大きな力となるのが、同社がこれまで培ってきた豊富なノウハウである。例えばその一つ、部分着用圧力製法は場所によって伸縮性を自在に調節しながら一枚のサポーターを編み上げる特許技術だ。これによって関節や筋肉の動きに合わせてサポーターが伸縮し、フィット感が向上する。素材には、マイナスイオンと遠赤外線を発する医化学的機能繊維「IOCA-C21」を採用。これらの相乗効果によって血流を促し、従来製品と大きく差別化を図る。
新商品は静脈瘤や浮腫の治療、軽減をはじめ、血栓の発生や疲労の防止にも効果を発揮。5年後に20万枚の販売を目指している。
同社が医療用サポーターに取り組みはじめたきっかけは、3年前に繊維リソースいしかわの仲介によって金沢医科大学と連携し、血流を改善するストッキングを開発したことだった。
スポーツ分野の市場が伸び悩んでいるのに対し、医療分野は高齢化や健康意識の高まりを背景として急速に拡大しており、本格参入に踏み切った。右肩上がりの市場だけに競争も激しいが、宮田隆弘企画開発部長は「機能性に優れた本物の商品は少なく、勝算がある」と話す。他社製品の2~3倍に相当する1枚2500円という小売価格設定も自信の証と言えるだろう。
一方、「こうしたサポーターを本当に必要としている人に最短ルートで届けたい」と話すのは舟木徹常務取締役だ。そのため、新商品はOEMではなく自社ブランド「tu'casa(カーサ)」の名称で販売。大手商社とも連携しながら、インターネット販売はもちろん、ドラッグストア、通販会社、コンビニ、ホームセンター、介護ショップなど、積極的に販路を開拓する計画だ。
舟木常務は「日々の業務に追われていると、新しい技術への挑戦や長期的視野に立った商品開発が難しく、今回の認定を会社を変えていくエネルギーにしたい」と社内活性化にも期待を募らせている。
企業名 | 吉田司 株式会社 |
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創業・設立 | 創業 昭和11年4月 |
事業内容 | サポーターの製造・販売 |
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備考 | 情報誌「ISICO」vol.45より転載 |
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掲載号 | vol.45 |