ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 トップページ > 情報誌ISICO > 【巻頭特集】受注・販路開拓などを強化し、不況に立ち向かう中小企業をサポート

本文

【巻頭特集】受注・販路開拓などを強化し、不況に立ち向かう中小企業をサポート

印刷ページ表示 更新日:2012年1月16日更新

巻頭インタビュー

谷本知事 写真

(財)石川県産業創出支援機構 理事長
谷本正憲(石川県知事)

景気回復を見据えた種まきにも力

世界同時不況のあおりを受け、国内の企業には軒並み逆風が吹いており、石川県も例外ではありません。ワンストップのサービスセンターとして、県内中小企業の多様なニーズにきめ細かく対応するISICOでは今年度、不況の克服と景気回復を見据えた取り組みを後押しするため、資金繰り対策などの経営相談、受注・販路開拓の支援、次世代産業の創出、人材育成の支援などに力を入れています。ISICOの新たな取り組みやその狙いについて、当財団の理事長である谷本正憲知事に聞きました。

世界同時不況の影響によって、業績を悪化させる企業が多い。厳しい経済状況下で、ISICOはどのような役割を果たしていくのか。

 鉱工業生産指数が急激に落ち込むとともに、有効求人倍率が短期間で急激に悪化するなど、本県の経済・雇用情勢は極めて厳しい状況にある。県としては、1日でも早く本県経済に光が差し込むよう、「経営の安心」「資金の安心」「雇用の安心」といった3つの安心を確保するため、セーフティネットの拡充・強化に全力を挙げている。
 こうした中、今年度はISICOにとっても真価を問われる年である。県との連携・協力のもと、これまで培ったノウハウを最大限に生かし、中小企業の皆さんからの経営相談や販路開拓支援に積極的に取り組む考えだ。

100年に1度とも言われる不況を乗り切るため、具体的にはどのような取り組みを展開するのか。

 県やISICOでは、昨年11月から特別相談窓口を開設して、中小企業の経営や金融に関する相談に対応し、資金繰りに頭を悩ませている企業の多さを実感した。企業にとって資金はいわば血液であり、これが円滑に供給されないとどんな事業も立ち行かない。しかし、急激に経済状況が悪化する中、民間の金融機関だけでは十分に対応できない現状もある。
 そこでISICOでは4月28日に(株)日本政策金融公庫(以下、日本公庫)と業務連携に関する覚書を締結した。日本公庫は政府系金融機関だが、どんな融資制度があるのか県内企業には十分に知られていない。県内企業の相談窓口であるISICOが日本公庫と連携することで、資金面での支援をより強化できると考えている。ちなみにISICOにとっても日本公庫にとっても、このような協定は初めての試みだ。

「経営悪化が深刻だが何とか再生を図りたい」あるいは「従来の事業だけでは見通しが暗いので、新分野へ進出したい」と考えている企業も増えてきているようだが。

 そうした声は企業の前向きな姿勢の表れだと考えている。厳しい経営を強いられている企業の再生・事業転換を支援するため、今年度は中小企業診断士などの外部専門家派遣事業を大幅に拡充した。今年度は530回の派遣を可能としたので、問題解決のブレーンとして、どんどん利用してほしい。
 また、深刻な経営上の問題を抱え、このままでは将来に不安があるが、意欲を持って再生にチャレンジする中小企業の支援に関しては、従来より「再生支援室」を設け、高い成果を挙げてきた。これについても、これまで以上にフットワークを軽く、スピーディーな意思決定ができるように独立させ、企業再生への支援体制を強化した。
 受け身ではなく、県内企業へ直接出向いて、技術面・経営面での課題や要望をお聞きし、解決すべきことは即対応するなど県内企業をしっかりサポートしていく。

経営の安定や業績向上のためには、受注・販路開拓支援が欠かせない。どのような施策があるのか。

 不況だけに、従来の販路がいったん途絶えてしまって、なかなか新しい販路が見つからないという企業も多い。そこで、ISICOが持っているノウハウを発揮して、新たな受注・販路を開拓するための取り組みに力を入れる。
 今年度より、新たに「緊急販路開拓推進室」を設置した。受注開拓アドバイザーを2名増員して5名配置するとともに、工業試験場からも4名の研究員をアドバイザーとして派遣してもらい、受注・販路開拓の支援体制を強化した。
 「緊急販路開拓推進室」では、発注元企業を訪問して県内企業のコア技術や得意とする加工内容をPRし、一件でも二件でも受注獲得につなげたい。さらに例年、県外では年1回開催してきた受注開拓懇談会も、今年度は東京、大阪の2カ所で開催する。
 また、国内産業は全般的に不調だが、業種によっては好調を持続している分野もある。昨年度に大きな成果を挙げたトヨタ自動車(株)との展示・商談会に続き、今年度も、7月中旬、新たに三菱重工業(株)と技術提案型の商談会を開催し、県内企業の販路拡大を強力に後押ししていく。県内企業の皆さんにもこういうチャンスを大いに生かして成果を出していただきたいと考えている。

昨年度創設した「いしかわ産業化資源活用推進ファンド」の利用状況と今年度の取り組みは。

 昨年、全国最大規模の200億円で創設したこのファンドは、運用益で産地の伝統的工芸品や農林水産品、観光資源など、地域の産業化資源を生かした新商品開発・新ビジネス創出を支援するものである。
 昨年は予想を上回る応募があり、79件を採択した。このうち能登地区からの採択が4割近くあり、また、農林水産業関係の採択が3割を占めたことは望外の喜びだ。
 今年度は新たに、景気悪化の影響を受けやすい小規模企業向けの支援メニューを創設した。従業員5人以下の企業が取り組む商品開発などに対しては、補助率を従来の2/3から3/4に引き上げ、150万円を限度に助成する。規模の小さな企業でも応募しやすい環境を整えたので、意欲ある企業はぜひ応募してほしい。

不況とはいえ、いずれ日が差すことは間違いない。守るだけでなく、意欲ある企業を積極的に支援することも大切になってくる。

 先の見えない深刻な経済状況の中、当面はセーフティネットを十分に張り巡らせることに全力を尽くさなければいけないが、やがて訪れる景気回復を見据えた種まき、いわば「未来への先行投資」についても、着実かつ果敢に取り組んでいかなければならない。
 その一つとして、地域経済の将来を担う産業を創出するため、「次世代産業担当アドバイザー」を配置した。例えば、次世代産業として期待を集めている炭素繊維は、鉄より強くアルミより軽い新素材だが加工が難しく、加工技術が確立できればもっと用途が広がる。ISICOではこの「炭素繊維」をはじめ、これからの時代に不可欠な「環境ビジネス」、「バイオ・アグリビジネス」に精通した専門のアドバイザーを配置し、各分野の研究開発を支援していく。

不況を乗り切った後、一層の成長を目指すならば人材の確保、育成も重要な課題だ。

谷本知事 写真 不況で仕事が減っているとはいえ、せっかく獲得した人材を失いたくないと考えている企業が多い。その証拠に国の雇用調整助成金を活用して雇用を守ろうという企業が3月時点で県内だけでも約1,000社あり、約3万5,000人の雇用を維持している実態がある。
 ISICO では、人材支援アドバイザーが県内企業からの相談に対応するとともに、人材の確保、育成、定着に関する専門的なアドバイスを行う。このほか、今年度の新規事業として、新入社員の早期離職防止のため、入社2年目以降の若手社員の指導力向上を目的としたセミナーを開催する。
 また、モノづくり産業の高度化・活性化のため、機械・IT産業分野で、メーカーの高度化するニーズに対応できる「高度専門技術者」や「現場技能者」の人材育成に取り組む。

利用者に対してメッセージを。

 平成11年に産声を上げたISICOは11年目を迎え、県内企業の認知や信頼が高まっている。この間、創設当初から取り組んできた「産学官連携による新産業創出」や「ベンチャー支援」に加え、「経営支援」「販路開拓」「人材確保」など支援内容も広がり、スタッフ数も120名を超える規模になった。県内企業の方々をしっかりとサポートしていくため、職員はスキルアップに励んでいる。困ったことがあったら気軽に相談していただきたい。

企業情報

企業名 公益財団法人 石川県産業創出支援機構
創業・設立 設立 1999年4月1日
事業内容 新産業創出のための総合的支援、産学・産業間のコーディネート機関

企業情報詳細の表示

関連情報

関連URL 関連URLを開く
備考 情報誌「ISICO」vol.46より転載
添付ファイル
掲載号 vol.46


月間アクセスランキングへのリンク

月間アクセスランキング
DGnet 企業情報/バーチャル工業団地/情報誌ISICO


ViVOサイトへのリンク

活性化ファンド・チャレンジ支援ファンド商品開発ストーリー集サイトへのリンク

じわもんセレクトサイトへのリンク

DGnetサイトへのリンク