本文
経済産業省が実施する地域産業資源活用事業に認定された企業の取り組みが、本格化している。
ここでは、県内中小企業の中から認定を受けた企業にスポットを当て、農林水産物や伝統工芸品、観光資源など、地域資源を活用した商品開発、販路開拓について紹介する。
加賀守岡屋では今年2月に(株)山下ミツ商店(白山市)と共同申請によって「地域産業資源活用事業」の認定を受け、看板商品である「守岡さんちの焼きいなり」の新たな商品開発と販路拡大に取り組んでいる。
「守岡さんちの焼きいなり」は、白山麓の伝統食品である堅豆腐を厚揚げにして、その中にいなりずしのようにご飯を詰め込んだもの。国産大豆と白山の伏流水、天然のにがりで製造された厚揚げをはじめ、白山市内の契約農家が低農薬で育てた米や能登産の地鶏、地元産しょう油など素材を厳選。大豆の旨味と焼いた揚げの香ばしさが口いっぱいに広がる逸品だ。
中身は当初の「鶏ごぼうの炊き込みご飯」と「ちらしずし」に加え、新たに「五穀米」や「ホタテ」を商品化。
さらにラインアップの拡充を目指して、山菜ご飯など地元の食材を利用した商品開発が進められている。
「守岡さんちの焼きいなり」は、3年前にいわゆる“空弁(そらべん)”として羽田空港でヒット。その後も、小松空港や富山空港、金沢駅、高速道のサービスエリアなどに販路を拡大してきた。
しかし、添加物や保存料を使っていないため、賞味期限は製造日から3日間に限定されており、思うように販売網を広げられないというジレンマも抱えていた。
これを解決したのが冷凍技術の導入だ。商品をマイナス35度で約1時間かけて冷凍することで、賞味期限を半年間にまでのばせるようになったのだ。電子レンジで温めると、厚揚げがべたついて香ばしさが損なわれるのではとの心配もあったが、高性能の冷凍機を導入し、焼きたての厚揚げの風味を楽しめるまでに品質を向上させた。
日持ちするようになったことで、販路は徐々に広がりつつある。今年4月には、JALグループの食品通販カタログ「グルメ・ファーストクラス」にも取り上げられ、表紙を飾った。9月からは、期間限定ながら、首都圏などで約360店舗を展開するファミリーレストラン「ジョナサン」のメニューにも採用される。
同社の守岡伸浩社長は「海外への販売も視野に入れる一方で、いずれはネットショップや店舗を立ち上げ、自分たちで地域の消費者に販売したい」と構想を描いている。
企業名 | 株式会社 加賀守岡屋 |
---|---|
創業・設立 | 設立 平成20年8月 |
事業内容 | 米食炊飯、惣菜製造業 |
関連URL | 関連URLを開く |
---|---|
備考 | 情報誌「ISICO」vol.46より転載 |
添付ファイル | |
掲載号 | vol.46 |