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商工業を営む企業と農林水産業を営む生産者が協力して
新たな商品やサービスを開発する「農商工連携」の取り組みにスポットを当てる
石川県内に6つの生花店を展開する花ともでは、約1年前から能登で採れたサカキの販売をスタートしている。同社の記州陽子社長によれば、能登産サカキの葉は他産地のものに比べて色が濃く、肉厚で、大きいのが特徴。記州社長の働きかけをきっかけに、珠洲市シルバー人材センター、JA内浦町、JA すずし、輪島市金蔵地区から出荷されている。価格は主流の中国産よりも5 割ほど高いが、消費者からは「日持ちがいい」「地元産の方が気持ちいい」と評判がよく、順調に売り上げを伸ばしている。
記州社長が能登産サカキの商品化に取り組んだのは、国産サカキが圧倒的に品薄だからである。現在、流通しているサカキの約95%は中国産だ。しかし、消費者の国産に対するニーズは根強く、記州社長自身も神棚に捧げるサカキは、その土地のものが一番と考えていた。
そこで、着目したのが品質のいい能登産サカキである。能登の山林にはサカキが豊富に自生している。記州社長は一定量を継続的に供給してもらうために、何度も能登に足を運んで説明会を開催。協力者を募ると同時に、希望者には商品価値のあるサカキの見分け方を指導した。サカキは1 年を通してニーズを見込める上、切り花と違って収穫や出荷のタイミングがシビアでなく、高齢者が安定して収入を見込める仕事として、地域活性化にも貢献している。
事業は順調に進んでいるが、能登産サカキの確保は十分とは言えない。まだまだ需要はある上、自生しているサカキだけでは限界もある。そこで、記州社長が次の一手として考えているのがサカキの栽培だ。
昨年10月には、地域資源を生かした新事業に助成する「いしかわ産業化資源活用推進ファンド」を利用して、協力者とともにサカキ栽培の先進地である静岡県静岡市を視察し、栽培法などを学んだ。収穫できるまで育つには3~8年かかることから、11月には、約300本の枝を協力者の所有する山林に挿し木した。記州社長は「10アール当たり30万円以上と米作の約3倍の売り上げを見込める」と話し、栽培を軌道に乗せ、ゆくゆくは能登産サカキをブランド化して、全国に販路を広げたいとしている。
このほか、温度管理によって冬に花が咲くケイオウサクラ「春待ち桜」と能登のヤブツバキ「能登照葉」の名を冠した日本酒を武内酒造店(金沢市)や松波酒造(能登町)と連携して商品化した。日本酒と花をセット販売し、昨年末までに200セットを完売。単に花を仕入れて売るだけでなく、農商工連携によって積極的に商品開発を仕掛けて、活路を見いだしている。
企業名 | 株式会社 花とも |
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創業・設立 | 創業 昭和52年 |
事業内容 | 生花・園芸販売 |
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備考 | 情報誌「ISICO」vol.44より転載 |
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掲載号 | vol.44 |