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バイオマス新素材を山中漆器活性化の契機に

印刷ページ表示 更新日:2012年1月16日更新

Series 地域資源活性化プロジェクト
目指せ!石川生まれのヒット商品

経済産業省が実施する地域産業資源活用事業に認定された企業の取り組みが、本格化している。
ここでは、県内中小企業の中から認定を受けた企業にスポットを当て、農林水産物や伝統工芸品、観光資源など、地域資源を活用した商品開発、販路開拓について紹介する。

エコ漆器の材料に切削片を再利用

エコ漆器 写真 「 当社だけでなく、山中漆器の産地全体の活性化につながる一手にしたい」。漆器の製造・販売を手がけるウチキの打出浩喜社長がこう大きな期待を寄せるのが、同社が京都大学の白石信夫名誉教授と開発した漆器成型材料の“木質バイオマス樹脂”だ。木質バイオマス樹脂は白石氏の開発した「バイオマス(植物由来)」の液化技術を用いて木粉を60%以上配合したもので、量産用の漆器に使う合成樹脂に代わる新素材として注目を集めている。
 最大の特徴は「地球環境と人に優しい」点だ。有害物質の溶出も環境ホルモンの含有もない。さらに、今後、混入する木粉は、木製漆器の製作過程で発生する切削片の利用も目指している。
 同社では、熱で溶かして使う可塑(かそ)性と、金型に入れて熱と圧力で押し伸ばす硬化性の2種類を開発した。大量生産向けの可塑性樹脂をアグリウッド樹脂と名付け、これを使った商品を「らぶ・あ~す」の名でシリーズ化。農林水産省の「バイオマスマーク」を取得した。「らぶ・あ~す」には、エコ意識の高まりから持ち歩く人が増えており、公的機関からも高い評価を受ける「蒔絵技法で加飾したジョイントMy箸」(つなぎ箸)などがある。硬化性樹脂は3年前に完成し、椀や盆などのエコ漆器を製造。量産をにらんだ次世代型も最終テスト段階に入っており、平成21年から本格的に販売する。どちらも、コスト面で合成樹脂と同程度の価格に抑えられる点も大きな強みだ。

12年間かけて高品質を追求

山中漆器産地全体の活性化に取り組む打出社長 写真 同社が木質バイオマス樹脂の開発を始めたのは12年前。打出社長が、テレビ番組でバイオマスの液化技術を確立した白石氏の研究を知ったのが始まりだ。「環境を考えた漆器の製造に応用できると感じた。接点はなかったが、技術開発をお願いするため、翌日には京大の白石先生の研究室に電話をかけた」と打出社長。この申し出を白石教授も快諾し、共同研究はスタートした。
 しかし、当初はなかなか思い通りの結果は得られなかったという。中でも、ネックとなったのが表面の仕上がりで、少しでも凹凸があると塗りの工程がうまくいかない。同社では、山中漆器の伝統美を表現できる品質を求め、10年にわたって試行錯誤を繰り返し、問題を解決するとともに、従来の合成樹脂と違い、天然木に近い風合いを実現した。
アグリウッド樹脂製のMy箸は、日本有機資源協会認定のバイオマスマークを取得 これまでにない特徴を備えた木質バイオマス樹脂は、漆器業界はもちろん、雑貨や建築部材などの原料として多様な業界から注目度が高く、中には海外からの引き合いもあるそうだ。「新素材を架け橋として、山中の漆器産業と他業種のビジネスマッチングが進んでほしい」。打出社長はこう話し、エコ漆器の拠点として山中を発信していく考えだ。

企業情報

企業名 株式会社 ウチキ
創業・設立 創業 明治21年5月
事業内容 漆器の製造、販売。バイオマス合成樹脂材料の製造、販売

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備考 情報誌「ISICO」vol.43より転載
添付ファイル
掲載号 vol.43


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