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産学官連携をより活発に、より円滑に推進するため大学と企業を橋渡しするコーディネーターを紹介します。
北陸先端科学技術大学院大学
先端科学技術研究調査センター長 山本 和義氏
山本和義氏は北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)で産学官連携の窓口となる先端科学技術研究調査センター(以下、調査センター)のかじ取り役を務めて5年になる。この間、大学が法人化され、大きな機構変化があり、山本氏は産学連携の強力な推進と、知的財産取扱部門(IPオペレーションセンター)の立ち上げに汗を流した。調査センターとIPオペレーションセンターは、主に専門能力の高い非常勤の職員によって構成されており、多くの実績を上げている。しかし、このままでは将来、大学に人脈やノウハウが蓄積されないと、文部科学省の「産学官連携戦略展開事業」に独自のコーディネーター育成プログラムを提案。今年6月に採択された。
この事業では、調査センター職員による講義や特許事務所へのインターンシップなどを通じ、学内職員やポスドク(博士号を取得した研究者)をコーディネーターに育て、産学官連携促進に向けた体制強化を図る。
計画では2年間で10人の人材を育成する予定で、山本氏は「企業と大学の間を取り持つマネジャーとしてだけではなく、事業を提案できる知のプロデューサーになってほしい」と新たな人材の成長に、期待に胸を膨らませている。
JAISTでは平成19年度、共同研究を107件、受託研究を50件実施しており、そのうち、調査センターは共同研究54件、受託研究15件について支援した。平成18年度に比べても、調査センターが関与した案件は格段に増加。スムーズな連携に向けて存在感を発揮している。
調査センターでは連携推進に向けて外部への情報発信に力を入れている。その一つが研究室ごとに研究内容を紹介する冊子「JAISTAR」であり、研究内容を企業に知ってもらうために見本市やフォーラムで配布している。
また、「ベンチャービジネスラボラトリー(VBL)」では、若手研究者の独創的な研究開発をサポートするため、実験室や研究員室を提供したり、中小企業診断士による経営相談や事業応募支援を行っている。平成19年度は11件のプロジェクトが研究開発を行っている。IPオペレーションセンターでは、知的財産や特許の説明会の開催、産学官連携・知的財産取扱いハンドブックの配布など、学内の知的財産権に関する意識の啓発に貢献している。
山本氏は「この5年間で連携に必要な環境を整えることができた。今後は次世代の人材がより活発な活動を展開してほしい」と期待を寄せている。
企業名 | 北陸先端科学技術大学院大学 産学連携本部産学官連携総合推進センター |
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創業・設立 | 創業 |
事業内容 | - |
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備考 | 情報誌「ISICO」vol.42より抜粋 |
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掲載号 | vol.42 |