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昨年3月25日の能登半島地震から約1年5カ月が経過した。マグニチュード6.9、震度6強という県内観測史上例のない大災害を乗り越え、能登では、逆境をチャンスに変えるさまざまなビジネスの芽が育っている。
大正元年から続く老舗である小山屋醤油店は、今年4月に蔵を改装したギャラリーをオープンさせた。
こけら落としのコンサートは、4代目主人の小山和助氏の人脈で招いたオーケストラ・アンサンブル金沢の弦楽四重奏が70人以上も集まった観客を魅了した。1,000円のチケットには同店が加盟する七尾東部商店街で利用できる1,000円分の商品券を付け、商店街全体の活性化も狙った。7月には、商店街のイベント「あさがお縁日」でも、ミュージシャンのライブの会場として使用した。
ギャラリーを構える店舗は七尾市内にもいくつかあるが、35畳大の広さが同店の特徴だ。備え付けられた滑車をオブジェにしたり、桶をいすやテーブルに使用するなど、蔵の雰囲気を生かした工夫も施している。
蔵をギャラリーに改装したのは、能登半島地震による被害がきっかけだった。幸い、商品にダメージはなかったものの、4つの蔵のうち2つが全壊という大きな被害を受けた。一時は店じまいも考えたが、「息子が後を継ぐと言ってくれたので、代々受け継いできた蔵を何とか残したかった」と小山さんは話し、残った2つの蔵のうち、1つをISICOから補助金を受けて修復することにした。その際、「残すからには業績拡大や地域の復興、イメージアップにつなげるものにしたい」と考え、蔵の一部をギャラリーとして活用することにした。
ギャラリーはイベント開催のほか、来場者に試作品の味を試してもらい商品開発に役立てるなど、マーケティングの場として活用していく。蔵を訪れた客に気軽に買ってもらえるよう、手軽に持ち運べる150ml入りの商品も企画。現在はISICOのアドバイザーの指導を得てラベル作成やボトルの選別を進めており、今後も、ギャラリーを核に販促活動を展開する予定だ。
企業名 | 小山屋醤油店 |
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創業・設立 | 設立 大正元年 |
事業内容 | 醤油、食酢、味噌の製造・販売 |
関連URL | 関連URLを開く |
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備考 | 情報誌「ISICO」vol.42より転載 |
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掲載号 | vol.42 |