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ビジネスチャンスの拡大、逆境をバネにランクアップ‥‥
さまざまな目的に向け、販路開拓に乗り出した企業の挑戦を紹介します。
日本キヌカが開発した米ぬかを主原料にした住宅用塗料「キヌカ」は昨年12 月、第4回エコプロダクツ大賞の推進協議会会長賞(優秀賞)を受賞した。バイヤーとユーザーの人気投票によって選ばれるDIYホームセンターショーでも、人と環境にやさしい商品として、一昨年、昨年と2年連続で金賞を受賞するなど、高い評価を得ている。
キヌカは米ぬかから抽出した油分を精製した自然塗料である。フローリングや木製家具などに塗ると、 表面を保護してくれる上、ツヤが出て木目が際立つ。化学溶剤を一切使用せずに自然素材100%でできており、長田社長は「赤ちゃんがなめたり、肌に塗っても大丈夫」と、その安全性に太鼓判を押す。
地方発ベンチャー企業の商品でありながら、発売以来、売り上げは順調に伸びており、来年度は1億円の売り上げを目指している。同社の販路開拓策に目を向けてみよう。
農業を営む長田社長がキヌカを発売したのは平成18年4月のことである。7月には日本キヌカを設立。本社を石川県に置く一方で、販促強化をにらんで営業本部は東京に設けた。
現在、4人の営業スタッフが活動しており、その結果、現在約26 社の販売代理店と契約を結び、建築会社、ホームセンターなどへの販売を本格化している。
用途拡大にも工夫を凝らしている。その一つが学校の教材としての提案だ。「中学生が技術の授業で使うニスの代わりにキヌカを使ってもらえないか」。そう考えた長田社長は、教材を専門に扱う商社と連携をとり、昨年度より関東エリアを中心に多数の中学校で本格導入が進んでいる。長田社長は「キヌカには米ぬかで床を磨くという古くから知られる生活の知恵やリサイクルの理念が詰まっている。単にニスの代替品というだけでなく、環境教育のツールとしても使ってほしい」と期待をかけている。
もちろん、確かな商品力がバックボーンとなっているのは言うまでもない。例えば、雑誌「クロワッサン」に他の自然塗料との比較記事が掲載され、高い評価を得たところ、読者からの問い合わせが「東急ハンズ」に殺到したことから、同店での取り扱いが決まったというエピソードもあるほどだ。
エコプロダクツ大賞での優秀賞受賞をきっかけに幼稚園、保育園向けの家具を共同製作するというコラボレーションも始まっている。長田社長は、「将来は、キヌカ=安心とすぐにイメージしてもらえるぐらいブランド力を上げたい」と一層の認知度アップを目指している。
企業名 | 日本キヌカ 株式会社 |
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創業・設立 | 設立 平成18年7月 |
事業内容 | 米ぬか塗料「キヌカ」の製造、販売 |
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備考 | 情報誌「ISICO」Vol.38より抜粋 |
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掲載号 | Vol.38 |