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ISICOでは、企業の設備投資を支援するため設備貸与制度で、企業の成長を後押ししています。
制度を利用して事業の拡大に成功した企業の取り組みを紹介します。
織ネームの製造を手がけるナワテ企画は、中国との価格競争に巻き込まれ淘汰が続く業界にあって、ここ数年二ケタの成長を続けるなど、気を吐いている。
躍進の契機となったのは平成13年の業容拡大である。同社が製造する織ネームとは、衣服のブランド名などを表示した布製タグのこと。それまで同社では、紋紙と呼ばれる織機で柄を織り出すためのデータ制作だけを行っていたが、顧客から寄せられるニーズの高度化、短納期化に対応するため、ISICOの設備貸与制度を利用し、シャトル織機を導入。従来は分業が当たり前だった業界にあって、いち早く自社での一貫生産に乗りだした。
もちろん単に業務の幅を広げただけではない。業績が好調なのは、高い技術力が評価された結果である。その好例と言えるのが、申田政弘社長が考案した「高品織」だ。これは、通常の織り方に比べて、縦糸と横糸の密度を格段に高めたものである。これによって、より精緻なデザイン表現が可能になった。
「織ネームは小さくてもブランドの顔。それだけにアパレルメーカーのこだわりも大きく、年を追うごとにデザインへの要求は厳しくなる」と話す申田社長。何とか他社と差別化を図ろうと、織機に独自のセッティングを施したほか、縦糸の間を往復して横糸を通すシャトルに改良を加えて、高品織を開発した。
今では受注の約5割をこの高品織が占めるまでになり、ビームスやシップス、トゥモローランドなど有名ブランドのほか、有名アーティストの公式グッズにも採用されるようになった。
付加価値を上げることで単価が上昇。出荷数量は減っているにもかかわらず、売り上げを伸ばすことに成功している。高品織はその他の織り方に比べて約2倍の時間がかかるため、平成18年にはISICOの設備貸与制度を利用して、さらに10台のシャトル織機を導入し、増産体制を整えた。
また、慢性的な人手不足を解消しようと、平成16年からは中国人研修生を受け入れており、現在では7人が貴重な戦力として働いている。
これまでは生産工程を増やさずに付加価値が高まるよう工夫してきたが、「設備と人員がそろえば生産工程を増やして付加価値をさらに高めたい」と申田社長は新たな構想を描いている。
企業名 | 有限会社 ナワテ企画 |
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創業・設立 | 設立 昭和61年4月 |
事業内容 | 織ネームの製造 |
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備考 | 情報誌「ISICO」Vol.38より抜粋 |
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掲載号 | Vol.38 |