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石川県には、キラリと光る技術を持つ企業がたくさんあります。
そういった技術力を認められ、県外企業からも幅広く受注に成功しているものづくり企業の成長戦略を紹介します。
繊維機械や建設機械の部品加工を手がけるメタルエンジニアの強みは、板金加工、プレス加工、金型設計製作という三つの事業分野を自社で一手に引き受けられる点にある。このため、コストや納期、製品の特性などを考慮した上で、ベストな技術を組み合わせて提供することが可能になっている。例えば、量産の必要がなく、コストもかけられない試作品については板金加工だけで作り、その後、本格的に生産がスタートする場合には、金型を製作し、プレス加工で大量に製造するといった具合である。
こうしたメリットが重宝がられ、顧客は県内外の100社以上に広がる。1日に製造する部品の種類は数百種類に上り、中には1日1個しか作らない部品もあるという。
生産設備については、国内に数十台しかないドイツ製レーザーパンチ複合加工機を保有。24時間連続稼動が可能で、精度も高く、多様なニーズへの対応と納期の短縮を実現している。
平成18年11月には、金沢市の安原工業団地から現在地に全面移転した。以前は五つに分かれていた工場を一つの建物に集約することで、生産効率をアップ。機を同じくして、創業時に主力としていたプレス以外にも幅広く対応できる技術力をアピールするため、社名を「加沢プレス製作所」から「メタルエンジニア」へと改めた。加沢登社長は「エンジニアとは言ってみれば職人。腕一本で仕事ができる職人の集団にしたい」と社名に込めた思いを話す。このため、社を挙げて社員の資格取得を奨励している。
同社独自の技術として顧客から支持されているものの一つに、ブレーキプレス用の「積層金型」がある。これは、厚さ10mm以下の薄い鉄板をレーザーで切り出し、この鉄板をいくつも積み重ねて製造した金型だ。
ブレーキプレス用の金型と言えば、大きなものになると長さ2~3mにもなり、機械加工によって製造するのが通常である。ところがこの手法では高価なため、量産しない特殊な製品や試作品などには向かない。そこで、加沢社長が考案したのが積層金型だった。精度や耐久性では機械加工で作った金型に劣るものの、少量生産には十分対応可能な上、何より機械加工の金型に比べて1/10程度のコストで製造できる点が魅力となって、多くのリピーターを確保している。
ユニークなところでは、仕事などを手伝ってもらった場合、感謝の気持ちを表す「ありがとうカード」を社員同士でやりとりする仕組みを取り入れ、工場内のコミュニケーションの円滑化に役立てている。
加沢社長は「既存の技術に加え、今後は、機械加工分野を強化して、組み立ての仕事も取り入れていきたい」とさらに業容を拡大する考えで、「近い将来は、自社製品の開発にも取り組みたい」と意欲を燃やしている。
企業名 | 株式会社 メタルエンジニア |
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創業・設立 | 設立 昭和60年4月 |
事業内容 | 精密プレス加工、板金加工、金型設計制作 |
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備考 | 情報誌「ISICO」Vol.38より抜粋 |
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掲載号 | Vol.38 |