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アースエンジニアリングでは創業以来、固形燃料化プラントなどの製造・販売を主力とし、環境ビジネスを展開してきた。今回取り組むのは、都市部の気温が郊外に比べて著しく高くなるヒートアイランド現象に着目し、平成18年から着手した二酸化炭素を削減する屋上緑化システムの販売基盤の確立だ。既存の屋上緑化システムは、植物に水をまくための給水設備が不可欠で、設置後のメンテナンスも必要なため、同社ではメンテナンスフリーの無灌水型緑化システムを開発した。
このシステムの開発に先立って同社では平成17年、能登特産の珪藻土を使った発泡セラミックスパネルを商品化した。人工的にスポンジ状の構造にしたパネルは、多孔質で吸保湿性に優れているほか、断熱性も高く、設置するだけで冷暖房の省エネも可能とする。このパネルにサボテン科のセダムを植栽することで、雨水と空気中の水分だけで枯れずにすむ「緑化基盤」を完成させた。
宇都宮大学に依頼した性能実験では、この緑化基盤を密閉空間に置いた場合、二酸化炭素濃度が半減することが実証された。また、首都圏での耐久テストでは、28日間まったく雨が降らない状態でもセダムが枯れることはなかった。これらの結果を受けて平成19年4月から緑化システムの販売を開始。同社のシステムは、給水設備が不要な分だけ設備投資を抑えられ、設置が容易なため施工期間が短縮できるという利点があり、すでに成田空港(新国際空港第二ターミナル) での屋上緑化工事などに採用された。
発泡セラミックスパネルは現在、同社志賀工場で生産しており、このパネルにセダムを植栽する作業工程は提携企業に委託している。圃場が千葉県と福岡県にあるため、今後、中京、近畿圏で販路拡大を図るには、圃場から納入先への運送コストがネックとなる可能性があり、石川県近辺でセダム植栽作業を行う圃場の確保が急務だ。そこで、平成19年12月から富山県砺波市でビニールハウスを所持する農家に委託して、冬期間におけるセダム植栽テストを実施している。
補助金はセダム植栽テストのほか、主要都市の潜在的な需要を掘り起こす調査員派遣などにも使うという大西和弥社長は「この認定を受けることによって、実績、業歴の浅い我が社の“信用度”をカバーできると考えています。認定が中小企業の新規分野へ挑む原動力になります」と力を込める。同社では、平成21年までに事業の黒字転換を図り、売り上げの20%を占める主要部門に育てていく。
企業名 | 株式会社 アースエンジニアリング |
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創業・設立 | 設立 平成8年3月 |
事業内容 | 一般廃棄物・産業廃棄物の小規模固形燃料化装置の設計・製造・販売、無灌水型緑化システム、発泡セラミックスの製造・販売 |
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備考 | 情報誌「ISICO」Vol.38より抜粋 |
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掲載号 | Vol.38 |