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社内にITに精通している人材がいない場合、情報化を円滑に進めるためには、システムベンダーとの協力が不可欠となる。平成17年度に経済産業省が実施した特定サービス産業実態調査によれば、石川県は人口あたりの情報サービス業の事業所が全国で3番目に多く、恵まれた環境にあると言えそうだ。
県内のベンダーの中でも、ここ数年、前年比25%以上アップという高い成長率を実現し、県内の独立系ベンダーのトップに位置しているのが、システムサポートである。
同社の小清水良次社長によれば、成長の秘訣は人材の採用と教育にあるという。小清水社長は「私たちのようなソフト産業にとって一番の財産は人材」と話し、採用時には自らが面接試験を行って、スキルはもちろんその人間力を見極める。
システム開発は企業の懐に深く入り込み、問題点を明確にした上で、ソリューションを提供する仕事である。それだけに、ニーズを汲み取り、システムとしてまとめ上げる技術力にプラスして、誠実に顧客と向き合い、信頼を築き上げていく人間力が必要になると考えるからだ。
教育面においても予算を確保して、社員の資格取得を積極的に後押しするなど、人材育成への投資に余念がない。
東京や大阪、名古屋といった都市圏への進出も、高い成長を維持する原動力となっている。もちろん、やみくもに進出するだけでは成功は難しく、小清水社長は「地方の企業が都市圏でライバルと互角に戦うためには何か強みが必要となる」と話す。そして、同社にとって強みとなったのは、世界的にも高いシェアを誇るデータベースソフト、オラクルに精通した技術者育成だった。
同社では、オラクルの資格でも最上位となるプラチナ10g資格の取得者を多数輩出したとして、今年7月には「ORACLE MASTER Platinum Award 2007」を受賞した。
多くの企業のIT導入事例を間近で見てきた小清水社長。中小企業のIT化については、「企業がより発展するためには、事務効率を向上させるためのIT化だけでなく、経営戦略の一部としてIT投資を考える必要がある」と分析する。
では、中小企業がパートナーとなるベンダーを選ぶ際、何か注意すべき点はあるだろうか。小清水社長は、「企業の名前ではなく、担当となるSEの人間力と技術力をよく見定めて決めるべき」とアドバイスする。
ITに詳しくないばかりに、企業のネームバリューを判断材料にしてしまう場合も多々あるだろう。しかし、SEがどんな人物で、どういうスキルを持っているかが最も大事なのだ。
もちろん、ITの知識がなければSEの力量を測るのは難しい。そんなときは、そのSEが、 これまでにどんなシステムを開発してきたのか、そして、そのシステムを導入した企業のその後の動向を調べれば、技術レベルを推し量ることができるという。
都市圏への進出の一方で、平成12年に石川ベンチャー大賞奨励賞を受賞して以降、小清水社長は「いかに地元に貢献していけるかを念頭に置いてきた」と語り、磨き上げてきた技術を駆使して、「県内中小企業にもソリューションを提案していきたい」と腕をさする。
IT導入にあたって、何から始めればよいか分からないなど、悩みを持つ場合は、解決に向けた第一歩として、支援機関をうまく利用するのも有効策の一つである。
県産業創出支援機構では、経験豊富なアドバイザーが相談に応じるほか、「中小企業戦略的IT化促進事業」や「IT 活用促進資金」など、補助制度、融資制度などを紹介している。ぜひ、積極的に利用して、大きな成果を手にしてほしい。
日本オラクルが、同社の製品やサービスを利用して、顧客のビジネス革新に貢献したパートナー企業を表彰する「Oracle Award 2007」で、システムサポートが「Member Partner of the Year」に選ばれた。日本オラクルと取り引きがある全国800社以上の企業から選ばれたもので、地方に本社を置く企業の受賞は10周年を迎えた同賞でも初めて。
企業名 | 株式会社 システムサポート |
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創業・設立 | 設立 昭和55年1月 |
事業内容 | システムコンサルティング、システムインテグレーション |
関連URL | 関連URLを開く |
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備考 | 情報誌「ISICO」Vol.36より抜粋 |
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掲載号 | Vol.36 |