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企業活動で生じた問題を解決する製品開発や他社とは一味違った独創性に富んだ発想で開発された新製品について、今回は、3社を取り上げて開発のポイントや市場からの反響を聞いた。
石川ブランド認定製品生活産業部門金賞に輝いたのは、電気工事やランプ販売を手がけるサワヤが開発した「冷ぇルーフ」だ。冷ぇルーフは工場や店舗に多い金属折板屋根に取り付ける遮熱シートで、日光が屋根に直接当たるのを防ぎ、シート下に日陰を作りだすことで屋根温度の上昇を抑える。「取り付け後すぐに、その効果を実感できる。エアコンの設定温度を見直すことで電気代の節約に貢献できる」。同社冷ぇルーフ事業部広報担当の城見光彦氏は、建物のクールビズ商品に胸を張る。
加えて、効果の持続性と割安のコストも魅力だ。従来商品は、屋根の温度を下げるために光を反射させる方法であったが、黄砂などの汚れが効き目に影響するため、定期的なメンテナンスが不可欠だった。それに対して、冷ぇルーフは、光の遮断を目的としているため、汚れても十分に効果を発揮する。素材は特殊加工したポリエチレン系樹脂シートを用い、留め具も鉄やプラスチックといったリサイクル可能なものを使用している。
さらに、シートに空けた穴が突風などの抵抗を逃がし、雨が屋根に直接当たらず雨音も室内に響きにくい。コンビニエンスストア2店舗分の面積(約1000平方メートル)ならば約1日という施工期間の短さもメリットだ。
これら数多くの特徴を誇る冷ぇルーフは、昨年末の本格的な販売開始からわずか7カ月、在庫切れ状態が続くほど、海外や国内の工場や店舗から注文が寄せられているという。
そんな人気商品開発のヒントは、社内にあった。「当社には廃蛍光灯適正処理施設がある。その工場は金属折板屋根で、場内で働く社員から『暑い』という不満の声が挙がっていた」(城見氏)。冷ぇルーフ開発はその声をスタートに進められ、1年後には同社の商品ラインアップに加わった。
サワヤでは、このように社員や顧客などの身近な声をきっかけに、商品開発が始まるケースが少なくないという。
同社では今後、商品の安定供給を実現する生産体制の構築やアフターケアの充実に力点を移していく方針だ。「市販の素材を応用したので、開発はスムーズだった。本番は、販売が本格化したこれからだ」と、城見氏も強い意気込みを見せる。石川ブランド受賞を追い風に、冷ぇルーフ事業を成長させていくための気運は新商品の遮熱効果とは正反対に熱を帯びはじめている。
企業名 | 株式会社 サワヤ |
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創業・設立 | 設立 1986年10月 |
事業内容 | 電気工事、ランプ販売、廃蛍光灯適正処理、冷ぇルーフ施工、リサイクル商品の開発 |
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備考 | 情報誌「ISICO」Vol.35より抜粋 |
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掲載号 | Vol.35 |