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繁盛店には、独自のノウハウがある。
集客の仕組み、あるいは仕入れから商品の陳列、サービスの充実といった店づくりの工夫などを大解剖します。
オーダーシャツの販売を専門に手がける金港堂では、ネットショップを活用して実店舗への集客を図っている。
きっかけは昨年4月にISICOが運営するバーチャルモール「お店ばたけISHIKAWA」に出店したことだった。シャツをオーダーするためには肩幅などを採寸する必要があるため、ネットで売り上げを伸ばすのは難しい。それならばと実店舗への集客をメインに考え、それまでのホームページをリニューアルすることにした。
単に店舗を紹介するだけではつまらないと考え、オーダーシャツの店らしく、自分の体を採寸する方法やお気に入りのシャツを送る方法など、6つのオーダー方法を考え、ネットでオーダーできるよう工夫していたが、来店促進効果を狙って、取り扱っている生地ブランドや製作工程、店舗内部の様子などのほか、オーダーシャツの実例も紹介し、購入意欲を高めるよう工夫した。
狙い通り、リニューアル後はホームページを見て来店する客が増えてきた。「初めての店には誰でも入りづらいものですが、店舗の様子や商品、価格帯などの情報が先に得られることで来店しやすくなった。不特定多数の人に一斉に告知するテレビや新聞と違って、ネットの場合は、商品や情報を探している人が見てくれるので、来店につながる可能性が高い」とオーナー兼ウェブマスターの宮谷隆之代表は分析する。
金港堂のネットショップからは、宮谷代表が3年前から続けているブログも見られるようになっている。話題はファッションを中心にさまざま。北陸の人気ブログランキングで一時期トップになるほどの人気で、メールでの問い合わせも増えているという。
当初は期待していなかった効果も表れている。その一つがネットを通じたオーダーの増加である。客単価は実店舗と比べても遜色がなく、一度注文してくれた人が、次には来店して注文するケースも多い。また、これまでは40代以上の客が多かったが、最近では20~30代の客が増えてきた。さらに、一般消費者だけでなく、貸衣装店からの受注も舞い込んできている。
競争が激しさを増す中、「オリジナリティの高い一着を作るために、より専門性を高めていきたい」と宮谷代表は今後の方向性を示す。どんな業種でも、専門性が高まれば高まるほど市場が小さくなるもの。これを補うためには販売エリアを広げる必要があり、広域から集客するにはネットが有効と宮谷社長は考えている。Q&Aや実例集の充実など、今のホームページに足りない部分も見えてきた。「今後もサイトの充実を図り、全国からシャツ好きの人を集めたい」と期待をふくらませている。
企業名 | 株式会社 金港堂 |
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創業・設立 | 設立 昭和7年4月 |
事業内容 | 紳士用品小売・オーダーシャツ販売 |
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備考 | 情報誌「ISICO」Vol.35より抜粋 |
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掲載号 | Vol.35 |