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ビジネスチャンスの拡大、逆境をバネにランクアップ‥‥
さまざまな目的に向け、販路開拓に乗り出した企業の挑戦を紹介します。
発泡ポリスチレンを構造材としたドームハウスに国内外から注目が集まっている。話題性抜群のユニークな形状に加え、低価格で施工期間が短く、断熱性、耐震性などに優れるなどメリットも多く、今年度は30億円の売上高を見込んでいる。
このドームハウスを考案したのは、御菓子城加賀藩(加賀市)などを経営するホッコウグループのジャパンドームハウスである。開発のきっかけとなったのは、同グループが熊本県内で展開する自然と健康をキーワードにしたテーマパーク「阿蘇ファームランド」に宿泊施設を建設するにあたって、まんじゅうのような形のコテージを作りたいという発想だった。「ドーム型の建物は特別珍しいものではない。しかし、施設のコンセプトにぴったりのものがなかった」と話す同社企画部の清水浩一郎部長。そこで、福岡県内の建築設計事務所などと協力し、独自の建物を開発した。幅約2.2m、高さ約3.5m、厚さ20cmという大きな発泡ポリスチレンパーツを成型するための機械も自前で準備した。
また、ISICOの仲介によって金沢工業大学の新保實教授とも構造に関する共同研究を進め、木材、鉄、コンクリート以外の構造材としては初めて、国土交通大臣の認可を取得した。
阿蘇ファームランドでは現在、450棟が宿泊施設として使われていて、年間稼働率80%を超える人気を博している。せっかく導入した設備を有効活用しようと外部への販売にも取り組んでいる。
ドームハウスの内部は直径7m、天井高約3mで、広さは約36.3平方メートルになる。構造材である発泡ポリスチレンは、通常の発泡スチロールの発泡倍率を約1/3に抑えることで、建築構造材として適応できるように強度を高め、さらに、難燃加工、紫外線からの劣化を防ぐUVカット加工を施した。壁の厚さは20cmにもなるため、断熱性に優れ、冷暖房時の電気代は1/10以下で済むという。基礎の上に10個程度の部品を組み立てるだけなので、3~4 人で約7日間という短期間での施工が可能。標準タイプで一棟480万円からという手ごろな価格も魅力だ。
阿蘇ファームランドでの活用が呼び水となり、宿泊施設や飲食店、事務所、住宅、別荘など、幅広い用途で受注が舞い込んでいる。最近では、国内にとどまらず、中国や韓国、台湾のリゾート企業なども興味を示しているという。
このほか、優れた断熱性能を生かし、阿蘇ファームランドでは低温保存用倉庫としても利用している。基本はドーム型だが、パーツの組み合わせによって、幅や高さ、長さは用途に応じて変更可能だ。同社では、さらに発泡ポリスチレンの可能性を追求し、販路を拡大する構えだ。
企業名 | ジャパンドームハウス 株式会社 |
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創業・設立 | 設立 平成16年3月 |
事業内容 | ドームハウスの設計、製造、販売 |
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備考 | 情報誌「ISICO」Vol.35より抜粋 |
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掲載号 | Vol.35 |