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「石川県方式」の手厚い支援で 被災中小企業の再建に尽力

印刷ページ表示 更新日:2012年1月16日更新

巻頭インタビュー

ISICOが果たす役割やこれからのビジョンについて、
当財団の理事長でもある谷本正憲知事に聞きました。

情報や人材、技術、資金、販路開拓など、さまざまな側面から、県内企業をサポートするISICOでは、能登半島地震で被害に遭った中小企業に対しても、全国的にみて前例のない支援策を整えました。さらに、今年度は、地域資源を活用した産業の創出、産業人材の育成など、支援メニューを一層充実させました。企業の成長、再建の力になります。ぜひご活用ください。

─── 今年3月の能登半島地震では、多くの中小企業が被害を受けた。そのため今年度は、被災した企業の再建、復興が急務となっている。どのような支援策を考えているのか。

 震度6強と石川県の観測史上最大規模となった能登半島地震では、奥能登を中心に大きな被害が出た。全半壊家屋は2000戸を超え、漆器や地酒、商店街に代表される奥能登の地場産業も深刻なダメージを受けた。
 地震による被害をきっかけに廃業が相次ぐようなことがあっては、奥能登の経済の地盤沈下につながりかねない。とりわけ、漆器は石川県のみならず、日本を代表する伝統産業だ。これが地震で衰退してしまえば、日本の伝統産業の衰退につながりかねないという危機感を持っている。
 そこで、被災した中小企業の再建をサポートするため、国と県が合わせて300億円を出資し、7月上旬、ISICOに「能登半島地震被災中小企業復興支援基金(仮称)」を創設する。これを原資に、5年間の運用で見込まれる20数億円を支援に充てる。

─── 具体的にはどのような支援策が盛り込まれるのか。

 支援策の柱は融資制度と助成制度だ。融資制度には5年間の利子補給、保証料の全額補助を盛り込んだ。さらに、過去の債務の借り換えも認めたうえで、運転資金は最大10年間、設備資金は最大15年間、借りられる仕組みを整えた。
 助成制度は、損壊した建物や設備の復旧をはじめ、共同施設の整備・復旧、商店街の仮設店舗設置、復興に向けた販売促進活動など、ハード・ソフト両面から補助金を交付する。
 過去の被災企業復興基金では、政府系金融機関からの融資に対する利子補給にとどまっており、それに比べると、補助金交付や既往債務の繰り延べなど、被災企業の要望にこたえた手厚い支援メニューとなっている。
 今回のように国が原資を用意し、自治体が現場の実態に応じた多様な支援を行う手法は、まさに「石川県方式」と呼べるもので、今後のいいモデルになると思う。

─── 今後、6月議会で承認を受けて本格的に支援策が動き出す。

 中小企業の再建は待ったなしで、スピード感を持った対応が必要だ。議会で承認後、即実行できるよう受け皿づくりを進めている。
 一方で、5月からは被災企業の求めに応じ、ISICOのスタッフに加え、中小企業診断士など外部専門家からなる相談チームを派遣し、復興のための資金調達やその返済計画等についてアドバイスを行っている。
 ISICOには、これまで事業再生などで培ってきたノウハウがある。その知恵と経験を生かして、被災企業の中から廃業を出さないという強い決意のもと、企業ニーズに合ったきめ細かな支援を行っていく。

─── 今年度の新たな取り組みとしては、「産業化資源活用支援事業」が挙げられる。このねらいは。

 景気が回復基調にあるとはいえ、すべての業種に及んでいるわけではなく、地域間でも格差がある。そんな中、伝統的工芸品や農林水産品、観光資源など、それぞれの地域に埋もれている資源を掘り起こして商品化し、全国に発信することで、地域格差の是正、地域活性化につなげるのがねらいだ。見方を変えれば、地域おこし運動の一環とも言え、地域の資源をもとに新たな産業が生まれれば、実益をもたらす上、地域に暮らす人々の誇りにもなる。

─── 地域の資源を産業化していくために、新たな組織を設けた。

 国は間もなく「中小企業地域資源活用促進法」の施行を予定している。石川県では今年2月、全国に先駆けて関係部局横断の「産業化資源活用推進本部」を設置した。さらに、今年4月には、ISICOにおいて「産業化資源活用推進課」を新設した。
 ISICOではこれまで、モノづくりにおけるニッチトップ企業を発掘、育成するため、さまざまな取り組みを行ってきた。これを第2次産業のみならず、第1次産業、第3次産業、伝統産業にまで範囲を広げて、新産業の種を掘り起こしていく。

─── 具体的にはどんなものが考えられるのか。

 例えば、これまで加賀野菜の金時草に含まれる抗酸化物質に着目して、美容クリームを開発した企業がある。また、能登野菜の中島菜は血圧の抑制に効果的としてお茶に配合された。
 消費者の健康志向は、かつてないほどの高まりを見せており、そうしたニーズに応えていくことで、地場食材の付加価値を高めていくのも一つの方法だ。
 とはいえ、農家だけではいい素材を作る力はあっても、どう加工するか、どう売るかというノウハウはない。1次、2次、3次産業と区別するのではなく、相互に乗り入れする、あるいは産業の枠組みを乗り越えて連携、協力していくことが大事だ。
 石川には産業化されていない地域資源が多々ある。新たな商品の芽を育てるため、資源の発掘から事業化までをサポートしたい。

─── 増産が相次ぐ製造業などを中心に人材不足の状態が続いている。

 今年4月の県内の有効求人倍率は1.31倍という状況だ。こんな時こそ、石川県の産業の将来を担う人材育成が必要だ。求職者に対して、単に職を紹介するだけでなく、どうやって人材を養成するかという発想で就職を考えていく必要がある。
 そのため、石川県では今年2月に「石川県産業人材プラン」を策定した。プランでは、人材の確保だけでなく、人材の質を高めることと裾野を広げることを大きな目的としている。
 ISICOでは昨年、「人材支援課」を設けて、人材アドバイザーが企業の求める人材像や能力に配慮した人材確保や社員研修の実施方法、早期離職を抑制するための工夫などをアドバイスしてきた。
 これに加えて、新たに県内中小企業の人材育成におけるモデル的取り組みの事例集作成、事例発表、優良企業の表彰等を通じて人材育成に対する企業意識の向上と取り組みの促進を図る。また、生産技術や試験計測技術等について、広範囲にわたる知識の習得を目的とした研修事業を実施するなどして、プランの着実な推進につなげていく。

─── 利用者に対してメッセージを。

 石川県の産業の基盤を支えているのは中小企業だ。そういった企業が、新たに製品開発や技術開発、販路開拓にチャレンジしようというときには、ぜひ相談してほしい。ISICOは、企業に対するワンストップサービスセンター。これまでは、第2次産業に分類される中小企業への支援が中心だったが、第1次産業、第3次産業の皆さまにも幅広く利用してもらえる取り組みがはじまっている。職員一丸となって、さまざまなニーズにきめ細かく対応していきたい。

企業情報

企業名 公益財団法人 石川県産業創出支援機構
創業・設立 設立 1999年4月1日
事業内容 新産業創出のための総合的支援、産学・産業間のコーディネート機関

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備考 情報誌「ISICO」Vol.34より抜粋
添付ファイル
掲載号 Vol.34


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