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ISICOでは、企業の設備投資を支援するため
設備貸与制度で、企業の成長を後押ししています。
制度を利用して事業の拡大に成功した企業の取り組みを紹介します。
スズトウシャドウ印刷が主力とするのは、マンガを中心とした同人誌の印刷である。同社では、27年前から同人誌の印刷を手がけており、現在、実に売り上げの90%以上を占めている。
同人誌の印刷では、アマチュアの手による原稿をいかに上手に印刷するかが、腕の見せ所だ。同社のスタッフは、必ず前もって原稿に目を通し、不備があった場合、発注者に連絡をとり、修正を施した上で印刷にとりかかっている。
また、マンガの原稿では、背景や洋服の柄などを表現する際、通常、スクリーントーンと呼ばれる水玉模様などが印刷されたシール状の画材を用いる。しかし、安価なスクリーントーンを使用すると、印刷時にかすれたり、濃くつぶれてしまうことが多い。このため同社では、インクの量などを細かく調節し、きれいに柄を表現できるように工夫している。
ほかにも、締め切りよりも早めに原稿を送ってきた場合に、料金を割り引くサービスや、あらかじめ決められた仕様で割安に印刷するセット価格も充実。技術力ときめ細かなサービスが支持され、顧客は日本全国、約10,000人にまで広がっている。
この分野への取り組みは、たまたま同人誌の見積もりを依頼されたことに始まる。その後、興味を持った平野英明社長は、東京で開かれていたコミック・マーケットと呼ばれる同人誌の即売会に足を運んだ。何万人もの人であふれかえる会場の盛況ぶりを目の当たりにした平野社長は、そこにビジネスチャンスを感じとり、チラシなどで宣伝を開始。当
時、業界でもいち早くダイレクト製版機を導入していた同社の見積もりは、他社よりも格段に安く、その評判が口コミで広がった。
時代の流れとともに、作り手のニーズも高度化している。同人誌といっても、表紙はきれいにカラーで印刷され、PP加工やホログラム加工といった特殊加工を施すなど、中には出版社から発行されているのではと見まちがえるものもある。
こうしたニーズに対応するため、同社でも順次、設備投資を進めてきた。平成16年度にはISICOの設備貸与制度を活用して、4色印刷機を導入し、納期短縮に役立てている。
印刷の場合、赤、青、黄、黒の4色によってフルカラーの色彩を表現しており、4色印刷機では、用紙を印刷機に1回通すだけで仕上げられる。同社ではそれまで、2色印刷機を使用しており、フルカラーを表現するには、印刷機に用紙を2回通さなければならなかった。
「インターネットや物流システムの発達で、距離的、時間的ハンデはなくなった。現在は200部程度の小ロット印刷が多いが、これからは大きなロットの同人誌も受注したい」。平野社長はニッチな市場でさらに存在感を発揮する構えだ。
企業名 | 有限会社 スズトウシャドウ印刷 |
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創業・設立 | 設立 昭和28年9月 |
事業内容 | 同人誌ほか各種印刷 |
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備考 | 情報誌「ISICO」vol.32より抜粋 |
添付ファイル | |
掲載号 | vol.32 |