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【巻頭特集】煙の少ないロースターを開発、焼き肉店などで導入が進む

印刷ページ表示 更新日:2012年1月16日更新

巻頭特集
絶えまなき革新、新製品の投入を発展の起爆剤に

企業が永続的に発展していくためには、提供している製品やサービスが、時代の流れにふさわしいのか、顧客が求めているニーズに合っているのか、常に見直し、それらにマッチした新製品、新サービスを開発する必要がある。
そして絶えまない革新こそが、他社との差別化やシェア向上、販路拡大につながっていく。
そこで、今回の特集では、これまで培ってきたノウハウを生かしながら、新製品の開発に挑戦している2社の取り組みを紹介する。

炭に油がたれない特殊構造を採用

煙が少なく、排気ダクトを必要としないノンダクト七輪「焼きじょうず」 写真 繊維機械、電子機器部品などのプレス加工を手がける有川製作所では、ノンダクト七輪「焼きじょうず」を開発し、焼き肉店などへの販路開拓に乗り出している。
 「焼きじょうず」は、幅52cm、奥行き30cm、高さ19cmで、重さは12kg。内部のカゴに炭を仕込み、焼き網の上の食材を加熱する。七輪などを使って炭火で肉や魚を焼くと、もうもうと煙が出るのに対し、この製品では、ほとんど煙の出ない点が特徴となっている。
 「実は炭を燃やしているだけでは、煙は出ません。焼いている時に肉から出た油が炭に落ちると、煙や炎が出るのです」と煙が発生する原因を語るのは同社の有川和孝社長である。このため、通常の七輪の場合、炭を焼き網の真下に設置するが、「焼きじょうず」では、炭を焼き網の左右の斜め下に配置。小型のファンを使用して、熱を焼き網まで送る仕掛けになっている。
 「食材の真下に炭がないと、火力が弱いのではと心配されるかもしれませんが、焼き網の部分は食材の加熱に最適な180~250℃になっています」と有川社長はその性能に自信を見せる。
 炭火は、食材を一番おいしく焼き上げると言われる一方、七輪の場合は温度が高すぎて、表面だけを焦がしてしまい、中まで火が通っていないケースも多い。「焼きじょうず」では、従来の七輪のそんなデメリットを克服。遠火の強火を実現して、炭火の能力を十分に引き出すことに成功した。

プレス加工で確かな技術力

津幡町にある有川製作所の旭山工場 写真 そもそも有川製作所は、昭和35年の設立以来、繊維機械、電子機器部品などのプレス加工を専門としている。
 金型の設計、製作からプレス加工までを一貫して生産できる体制を整えており、とりわけ得意としているのが、フルRと呼ばれ、切断面を一回のプレスで滑らかな曲線に加工する技術だ。例えば、繊維機械に組み込まれている糸を送る部品の場合、糸に触れる部分が荒れていては糸を傷つけてしまうため、凹凸のない滑らかな加工が求められる。
 もちろん、高価な専用設備を入れたり、プレス加工後に仕上げ加工を施せば、他社でも同様の部品の製造は可能である。しかし、同社の場合、独自の金型設計とトライ&エラーの繰り返しによるノウハウの蓄積によって、一回のプレスで仕上げまでを可能としている。だからこそ、より低コスト、より短納期で製品を提供できるのだ。
 こうした独自の技術や企業努力、ISICOの受発注あっせん活動によって、同社の経営状況は、今のところ安定的に推移しているものの、金属プレス加工業界を取り巻く環境は厳しさを増している。安価な多量生産品の生産については中国シフトが進んでおり、同社でも、中国・厦門の工場と連携し、価格競争力の維持に努めている。
 有川社長は、「難易度の高い仕事でも、メーカーからのコストダウンの要求は厳しい。企業の将来を長い目で見れば、体力がある今のうちに、次代を担う自社製品を開発したい」と語り、その一つが「焼きじょうず」というわけだ。

コストは無煙ロースターの1/3

一貫して生産できる体制が強み 写真 「焼きじょうず」の開発は、得意先の一つだった無煙ロースターを製造する機械メーカーのアイデアを基に、共同で取り組んだ。
 製品の外装となる金属部品の加工は、有川製作所が得意とするところだ。金属板の内側には、断熱性に優れた能登産の珪藻土を張り巡らせた。
 煙が少ないという機能性に加え、無煙ロースターに比べて格段に低コストで導入できる点が人気を呼び、完成から2年間で、約400台を販売した。
 通常、無煙ロースターを導入するには、本体に加えて、吸排気用のダクト工事などが必要となる。この製品では、こうした工事が必要なく、イニシャルコスト、ランニングコストが1/3に抑えられる。
 現在は、ほとんどが焼き肉店で利用されているが、工事を行わなくても設置できることから、今後、レストランや居酒屋、ホテル、温泉旅館など、さまざまな業態、業種に販路を拡大する予定だ。

中小企業は協力しあって製品開発を

 ところで、有川製作所ではこれまでも幾度となく、自社製品の開発に取り組んできたが、なかなかうまくいかなかった経験を持つ。
 こうした経験から有川社長が学んだのは、「作り手側から発想するのではなく、ユーザーの目線で考えたモノづくりが求められている」ということだった。
オリジナルの製品開発に力を入れている有川社長 写真 そこで今回は、現在、業務用に販売している「焼きじょうず」を小型化し、価格もリーズナブルに抑え、家庭用としての販売を計画している。アウトドアやキャンプなどでも利用できるように改良を加え、バーベキュー用に需要が増えているコンロや七輪のニーズを取り込む。
 現在も新潟県内の企業などと共同で、新製品の開発に取り組むなど、同社の挑戦は、とどまることを知らない。
 有川社長は、「中小企業の場合、研究開発に割ける人員や資金は限られる。得意分野の違う企業がお互いに協力しながら、今後も新製品を開発していきたい」と新たなヒット製品を生み出すべく、意欲を燃やしている。

企業情報

企業名 株式会社 有川製作所
創業・設立 設立 昭和35年4月
事業内容 繊維機械、電子機器部品などのプレス加工

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備考 情報誌「ISICO」vol.32より抜粋
添付ファイル
掲載号 vol.32


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